移籍組の“背信”にも触れぬわけにはいかないだろう。まずは、FA移籍の野上亮磨(31)=巨人・年俸1億5000万円=、大野奨太(31)=中日・年俸8300万円=、大和(31)=DeNA・年俸1億円=から。
西武から加入した野上は、4勝4敗、防御率4.79という成績に終わった。1勝あたり単価は3750万円。規定投球回数にも届かず、それでいながら被本塁打はリーグワースト10位タイとなる15だった。
「野上については、獲得した巨人も悪い。1億5000万円も出して獲る投手じゃありません。西武時代は、夏場に必ず調子を落とすなど、安定感に欠けていた。精神的にも、巨人でプレーする重圧に耐えられるタイプではないですからね」(伊原氏)
日本ハムから移籍の大野も期待を裏切った。出場63試合で打率1割9分7厘。1安打あたり単価307万円では、コスパの悪さは否めない。
「大野に関しても、中日の編成部門が実力を正確に把握していなかったフシがある。パ・リーグ関係者の評価は打撃、インサイドワークとも低いものでした。事実、昨オフにFA宣言した際も、日本ハムはほとんど引き止めなかった」(伊原氏)
野上、大野に比べれば、大和はまだマシだったかもしれない。1安打あたり単価(104万円)だけを見れば、230万円の巨人・坂本よりもはるかに安い。
だが、打席数こそ4年ぶりに規定に達したものの、打率2割4分4厘、出塁率2割9分3厘。打撃面に関しては“優勝への最後のピース”として期待されたほどの成績ではなかった。
また、守備率9割7分6厘、失策11も、セ・リーグの規定試合数に達した遊撃手の中では最下位。投手を助けるビッグプレーを随所に見せはしたものの、持ち味の守備でも“らしくない”姿をさらしてしまった。
「阪神時代のように5000万円前後の年俸なら、コスパのいい選手です。それなのにDeNAが『大和、大和』と欲しがって1億円も出した。阪神で出番がなかったのですから、5000万~6000万円でも喜んで来たはずですよ」(伊原氏)
FA移籍ではないが、中日から鳴り物入りで巨人に加入したゲレーロ(32)も、外野手部門のワースト筆頭格と言っていい。昨季のセ・リーグ本塁打王も、今季は82試合出場で打率2割4分4厘、15本塁打、40打点。1安打あたり単価571万円とパッとしなかった。6月にはコンディション不良のため2軍落ち。ケガの回復後も、他の外国人選手が台頭したことで約2カ月間、2軍で“塩漬け”となっていた。
「2軍落ちから1カ月間、1軍首脳陣とコミュニケーションがなかったことを理由に設けられた高橋由伸監督との面談を拒否するなど、素行面でもワーストぶりを発揮していました」(スポーツライター)
ゲレーロ以外の外野手部門は、巨人・陽岱鋼(31)とDeNA・梶谷隆幸(30)=年俸1億2800万円=で異存はないだろう。
昨季、日本ハムからFAで移籍した陽は、87試合出場で打率2割4分5厘。昨季同様、スタメンから外れる試合も多く、1安打あたり単価は483万円。お世辞にも期待どおりの働きぶりとは言えなかった。
梶谷も今季は影が薄かった。昨季まで4年連続20盗塁以上、5年連続2桁本塁打をマークしたDeNAの中心選手も、今年は背中に張りが出て開幕1軍メンバーから外れた。4月末に1軍昇格したものの、終わってみれば41試合出場で打率2割6分8厘、5盗塁、1安打あたり単価376万円というコスパの悪さだった。
「昨オフの時点で、球団は梶谷の右翼レギュラーを確約せず、若手と競争させる方針を示していました。三振が多く、確実性に欠けることが要因です。犠打も得意でないため、スモールベースボールを志向するラミレス監督にとっては、起用しづらいようです」(スポーツライター)
DeNAでは絶対的主軸の筒香嘉智(26)に意外なダメ記録が。セの規定打席到達者の中では、得点圏での凡打率が7割6分3厘と「トップ」。2割9分5厘、38本塁打とはいえ、年俸3億5000万円の「チャンスに弱い主砲」の価値や、いかに。