アームでつかまない方法として、景品のタグや景品に後付けされたプラスチックの輪っかに、爪を引っ掛ける技もあるが‥‥。
「特に後付けの輪っかのほうは要注意です。つい『この穴にアームを入れて引っ掛ければ』と思ってしまいがちですが、これはトラップだと思ったほうがいい。かなり高度な技ですし、初心者の方は、普通に本体を狙ったほうがいいですね」
そして、近年急増しているのが2本のチューブの上に箱型の景品が乗せてある台。これには「つばめ返し」という技が有効だ。
「まず、箱の片側をアームに引っ掛けて持ち上げる、を何度か繰り返します。そして箱の重心が極端に片側に寄ったところで、アームで持ち上げる反動を使って景品を落とす方法です」
箱の景品にはフタの隙間に爪を差し込んで持ち上げる「ぶっ刺し」という技もあるが、こちらは上級者向けの高度テクだ。
「他にも開いたアームの爪を箱の角に当てて押し落とす『くるりんぱ』という技もありますが、こちらも爪を当てる場所の感覚をつかむまで、時間とお金が必要かもしれません」
数々のテクニックを駆使する皆川氏だが、もっと簡単な初心者向けの極め付き“奥義”があると断言する。
「ズバリ『店員さんを仲間にする!』です。クレーンゲームの魅力は、手の届かないガラス越しの非売品を遠隔操作でゲットすることですよね。店員さんは、そんな神の領域の扉を開けられるし、あげく手でつかめてしまう。まさにゴッドハンドですよ。僕はそんな神の使いに、まずは取り方を教えてもらいます。そのあと実践して失敗したら、熱意をアピールする。『どうしても欲しくて頑張っているんですけど‥‥。ちょっと取りやすいところに移動してもらえませんか?』とね。数百円しか使っていなくても、頑張っている感を出すんです(笑)」
その熱意にほだされ、取りやすい場所に景品を移動してくれる店員も多いそうだ。
「大事なのは、取れた時はちゃんとお礼を言うこと。クレーンゲームはスポーツ同様、礼儀が必要なんです。恥ずかしがらず、店員さんには、どんどん声をかけるといいと思いますよ」
取れる喜びを知ると、あの景品も、この景品もと、欲が出てしまいそうだが、
「クレーンゲームは風営法により原価800円以上の景品は入れられないことになっていて、それを『3000円くらいで取ってもらおう』という商売です。果たして目の前のうまい棒タワーに500円を入れ、30本が落ちてきて満足していいのか否か。僕も常に自問自答しています(笑)」
取れるか、取れないかハラハラ・ドキドキが醍醐味のクレーンゲーム。しかし熱くなってしまうと、あっという間に数千円が消えてなくなり「このお金でぬいぐるみが買えたじゃん」とならぬよう、皆川式必勝法を駆使して、楽しもう!