ポスティングシステムでメジャーリーグ入りを目指すオリックス・吉田正尚に、早くも「第二の秋山翔吾」を危惧する声が出ている。
主砲としてオリックスを26年ぶりに日本一に導いた吉田。本人の「高いレベルで野球をやりたいという気持ち、小さいときからの夢にチャレンジしたいという気持ち」と訴え、球団からメジャー挑戦を承認された。
米国内では早くも「争奪戦が勃発」との報道があるが、実際は社交辞令の域を出ていないという。在阪スポーツ紙の野球担当デスクは、次のように分析する。
「あのイチローが在籍していたオリックスの選手というので盛り上がっている部分がある。実際は『通用するのか』と疑問視する声の方が大きい。入札価格が高額でなければ獲得に乗り出す球団はあるでしょうが…。鈴木誠也の評価には届かないという声がもっぱらです」
米国内での日本人野手の評価は、二刀流で成功した大谷翔平を除いて年々下がっている。鈴木は日本の4番として、日本人野手としては史上最高額となる5年総額8500万ドル(約101億円)という破格の条件でカブスに入団。4月にはプレー・オブ・ザ・ウイークを受賞する活躍をみせたが、5月には負傷者リスト入り。その後、復帰したが打率2割6分2厘、14本塁打と目立った成績を残すことができず、ナ・リーグの新人王レースでは1ポイントも獲得できなかった。
それでも走・攻・走三拍子そろっており、米スポーツ専門局「ジ・アスレチック」のように、来季以降を期待する意見もある。
だが吉田に関しては、今季途中に広島入りした「秋山翔吾の二の舞いでは」と危惧する声も大きい。
MLBに詳しいテレビ局関係者は、
「日本で二度のシーズン最多安打を放っている秋山の技術が、MLBではまったく通用しなかった。吉田はパワーでは秋山より上だが、メジャーでそれが通用するか、疑問です。大谷は何年もかかって肉体強化に取り組み、メジャーリーガーと肩を並べられるようになった。パワーヒッターの吉田が、現状のままで活躍するのは難しい」
さらに、吉田は18年に手術を余儀なくされたように、腰に爆弾を抱えている。日本より試合数が多い上、移動が過酷なメジャーで戦うには肉体的な不安もある。今年の日本シリーズ第5戦では球団史上初のサヨナラアーチを放つなど、勝負強さには定評があるが、待ち受けているのはイバラの道かもしれない。
(阿部勝彦)