ところが北朝鮮の「意図」に反し、めぐみさん生存をうかがわせるさまざまな「情報」が浮上した。政治部デスクが語る。
「例えば、93年3月に離婚しためぐみさんは94年9月に対日工作員の男と再婚し、96年11月に男児を出産した、というもの。01年当時は平壌市龍城区域の招待所で生活していた、という脱北工作員の証言もありました」
今年3月にウランバートルでキム・ウンギョンさんと面会した早紀江さんは、
「(ウンギョンさんは)めぐみの話はほとんどしなかったが、めぐみの生存への確信は面会後もまったく揺らいでいない」
と語り、単なる願望を超えた何かがあることをうかがわせている。
「めぐみさんが生存していることは間違いなく、官邸もその方向で動いています」(政府関係者)
ではいったい、彼女はどこでどんな状況下に置かれているのか。北氏のもとには、さまざまな情報が入ってきているという。
「北朝鮮独自の宗教団体の幹部になっているとか、優れた霊媒師、あるいは巫女になっている、とも。日本海側の中北部にある金策(キムチェク)という都市の近郊には『日本人村』というのがあります。北朝鮮の工作員が日本人に成り済ますために日本の街を作り上げ、日本人の生活を覚えさせようと建設したものだといいます。かつて平壌で暮らしていためぐみさんは、この『日本人村』に移動し、現在もここにいるのではないかと‥‥」
だが北朝鮮にとって、めぐみさんは「最後の切り札」であり、
「これを『使う』ことはまだ考えられない。戦後賠償金5兆円といった裏取引でもあれば、すぐにでも出現する可能性はありますが」(前出・政治部デスク)
李氏は、北朝鮮の手法について、次のように語るのだ。
「北朝鮮が拉致事件に関して隠していることは、恐らくいっぱいある。拉致被害者が死んだり、殺したりはしていないでしょう。生かしていたら利用できるし、利用するために生かしていると思います。だから横田さん夫妻には心を強くしてください、と伝えたいです」
めぐみさんの元夫による06年の会見以降、北朝鮮は「めぐみさん死亡」発言をしていない。金総書記の遺訓を守るべく、金第一書記と北朝鮮は日本を納得させる「答え」を用意できるかどうか。
「いかなる組織、構成の委員会を立ち上げて調査するかを見極めずに制裁解除することはない」
安倍総理の参院本会議でのこの言葉に、日本人は今度こそ期待感を抱いているのだが‥‥。