あるテーマについて異なる立場から議論を交わし、説得力を競い合う「ディベート」が盛んだ。現在は中学生や高校生を対象とした全国大会や各大学が参加するディベートリーグ、さらには世界大会などが開催され、競技化されてもいる。
ABEMAで配信中の「マッドマックスTV 論破王」は、有名人2人が競技ディベートを行う人気ネット番組。20年に放送が始まった当初は「ひろゆきの論破シリーズ」というタイトルの通り、匿名掲示板サイト「2ちゃんねる」開設者のひろゆきこと西村博之氏ありきで始まった企画だったが、“論破王”と呼ばれるだけあって、対戦相手のゲストを次々と撃破。
そんな彼と五分以上の戦いを見せ、勝利したこともあるのが人気ラッパーの呂布カルマだった。芸能界最強のディベート王として名乗りを上げると、「ワイドナショー」(フジテレビ)にコメンテーターとして出演するなど、テレビにも多数出演。音楽ファン以外にも名前を広く知られるようになる。
ただし、1月3日配信の「マッドマックスTV 論破王」では、呂布カルマが0-4の判定で敗れる大波乱の展開に。しかも、金星を挙げたのはあの亀田三兄弟の次男で、ボクシング元WBA世界フライ級、IBF世界スーパーフライ級の2階級王者だった亀田大毅だったのだ。その完勝とも言える内容に「ボクサー時代も含めて彼のベストバウト」「こんなに弁が立つとは思わなかった」など、視聴者の庄さんが相次ぐことに。
「討論のテーマは『ボクサーとラッパー、幸せなのはどっち?』で、驚くことに亀田大毅が選んだのはラッパー。現役時代の体験談を交えて『正直いいこと1つもなかった』と主張し、理詰めで論じる呂布を見事論破しました。両者の職業を比較するような内容で一方に有利なわけではなく、その状況で勝てたのだから立派。ちなみに彼は読書家で芸術への造詣も深い。ボクシングと関係ないテーマでも勝てるようなら、新たなディベート王としてテレビ番組からのオファーもかかるでしょうね」(テレビ誌編集者)
案外、拳より言葉で戦うほうが向いているのかもしれない。