維新旋風はいまだ収まらず、である。大阪維新の会の大黒柱だった松井一郎大阪市長が2022年3月に今春での政界引退を表明。一時期は在阪メディアの間からも、橋下徹元市長、松井市長の両氏が去った維新のその後を危ぶむ声が少なからずあった。ところが、約2カ月後に迫るダブル選挙は、もはや盤石の様相だというのである。
4月9日の大阪市長選挙で後継に選任された横山英幸大阪府議(41)は知名度こそないが、維新人気が票田を固めている。それよりも、迷走する大阪自民の地盤沈下を指摘する声が圧倒的だ。
在阪の新聞記者がこう説明する。
「15年当時、自民党の柳本顕大阪市議(49)が市長選に出馬して、吉村洋文衆議院議員(47)に大差で落選。19年の市長選でも、知事を辞して臨んだ松井市長に再び大差で負けた。一度ならずとも二度の大敗。実は19年の選挙は候補者がおらず、泥水をすする覚悟で柳本氏が挑んだものの、自民党府連は功労者として扱わずに野垂れ死にさせた。結果、21年の衆議院選挙で公明党が地盤とする3区に柳本氏が無所属で出馬する“大騒動”に繋がったのです」
紆余曲折を経て、柳本氏は自民党の比例近畿ブロックで当選し、現在は衆議院議員となっている。
「維新1強」の大阪では、自民党の市長、知事選候補の選定は毎回難航。自民党関係者もこう嘆く。
「知事選に出馬する吉村現知事に対抗する候補者は、浪人となる覚悟が必要。言ってみれば、ほとんど勝てる見込みがない選挙です。市長選の相手は新人の横山氏なので、まだ望みはある。とはいえ、柳本さんでさえ、当時無名に近かった吉村現府知事に大敗した。よもや関西で有名な著名人や芦田愛菜クラスに出馬してもらわないと勝てないです(笑)」
今年早々には共産党の元参院議員・辰巳孝太郎氏(46)が、無所属で知事選に出馬すると表明。これにも実はワケがあるという。
「衆議院の解散を見込んで、名前を売るための選挙。いち早く表明したのもそのためです」(共産党関係者)
さらに2月に入ると動きは慌ただしくなる。これまで市長選出馬には否定的だった、北野妙子大阪市議(63)が一転して出馬の意向を表明。維新の会に対抗するため、反IRを母体とした経済人が設立した政治団体「アップデートおおさか」からの出馬要請を受諾した形だ。同様に法学者の谷口真由美氏(47)も同団体の要請で府知事選に挑戦する。
北野氏は自民党を離党して無所属での出馬。自民党の議員の中には「北野を支援しない」と冷や水を浴びせる声もある。実は水面下で、自民党がビッグネームに声をかけていたからだ。
「関西テレビの夕方の顔、新実彰平キャスター(33)に自民党が出馬打診をしていた。同氏は1月末、正式に断りを入れているというが、仮に市長選で落選しても、太田房江参議院議員(71)の後継者として約束手形まで保証されていたと噂されている」(在阪メディア)
国会では政権与党でも、大阪では自民党の迷走が今も続いている。