旧統一教会との親密関係を取り沙汰され、しばらく沈黙していた自民党の萩生田光一政調会長が「のど元すぎれば何とやら」で、発言力を増している。まずひとつは、解散総選挙についての言及だ。自民党関係者が語る。
「先日、ラジオ番組に出演した際、早期の衆院解散・総選挙について『直ちに政治空白を作って国民の皆さんに信を問うということではない』などと反対の姿勢を表明しました。解散は総理の専権事項と前置きはしているものの、彼のバックには100人の安倍派議員が控える。総理の考えを縛る発信であることは間違いないでしょう」
ふたつめは、現在の選挙制度を巡る発言である。都内で開かれた国会議員の会合に出席した萩生田氏は、
「東京は毎回、選挙区が変わっている。憲法改正し、こういう選挙制度を変えないと、安定した政治ができない」
次期総選挙の候補者擁立で公明党と激しく対立したことを巡っても、萩生田氏が頑として譲らなかったとされる。
声が大きくなるとともに、威圧感は増していく。それを如実に示したのが、麻生太郎副総裁への猛抗議だ。自民党議員のベテラン秘書が語る。
「G7広島サミット後の党会合で麻生氏が、16年の伊勢志摩サミットは料理や土産ばかりが注目された一方、今回は政治的なメッセージが多かった点を評価。これに萩生田氏が『前のサミットの料理や日本酒紹介は、大きな経済効果を上げた』と猛反発しました。伊勢志摩サミット時、萩生田氏は安倍内閣の官房副長官だっただけに、腹が立ったんでしょう。それにしても党の副総裁にまで噛みつくとは、いい度胸ですよ」
そうした経緯から、自民党内では「次の総裁選に出馬するのでは」という声も。一方で「政調会長の身で、まるで総理のごとき発言のオンパレード。いかがなものか」と反発の声も聞こえてくるが、本人の思惑やいかに。
(田村建光)