連立を組む自民党と公明党が、衆院小選挙区定数の「10増10減」に伴う選挙区調整では、対立を深めている。公明党が選挙区の増える都市部で、自民党の反対を押し切って、擁立を次々と決めているからだ。新設される東京28区(練馬区東部)でも近く、候補者を発表する。自民党の反発は必至で、両党の協力関係にヒビが生じそうだ。
自民党都連会長は、萩生田光一政調会長。公明党も、高木陽介政調会長が都本部代表を務める。2人は共に八王子を地盤にしていることから「八王子コンビ」と呼ばれ、普段は仲がいいが、今回ばかりはそうもいかない情勢だ。
すでに東京では29区(荒川区など)で一方的に候補者を発表されており、萩生田氏としても2選挙区目は認められないという立場にある。
だが、公明党も引くに引けない。というのも、日本維新の会が衆院選で協力してきた公明党との関係について「リセットする」(馬場伸幸代表)として、これまで公明党に譲ってきた大阪、兵庫の6選挙区で候補者を擁立する構えを示しているからだ。現在の維新の勢いからすれば、公明党候補が維新候補に勝つのは容易ではない。となると、余計に東京で2選挙区目が欲しくなるというわけだ。
しかも公明党は、28区に含まれる練馬区議選(4月23日投票、定数50)で、候補者11人中4人が落選した。全勝が基本の公明党としては異例中の異例のことで、4人とも最下位当選者の30票から69票届かなかった。ちなみに48位から50位の3人も、公明党である。
緻密な票の割り振りで知られる公明党としては、大失態。その汚名を返上するためにも28区は欲しいところで、自民党の反対を押し切って公認を発表しようとしている。