コンビニのレジ支払いに手間取る老婆。後ろには客の行列ができている。その先頭にいた強面の男が足でパタパタとリズムを取ると「Yo!もしかして焦ってんのか おばーさん 誰も怒ってなんかない アンタのペースでいいんだ 何も気にすんな 自分らしく堂々と生きるんだ」とラップを展開。これに老婆も「迷惑かけてしまってるなって 焦ったらまさかの 優しい発言」とラップで返す。
「たたくより、たたえ合おう」がスローガンのACジャパンのCM「寛容ラップ」編を初めて見た時、あの強面のあんちゃんは誰だ、と思った。あまりにも適役だったから。
ある日、「ワイドナショー」(フジテレビ系)を見ていたら、そのCMのあんちゃんが出ていて、彼が呂布カルマなるラッパーであることを知った。MCバトルで過去に何度も優勝しているとのことだが、私はそっちの世界に疎いので、その凄さがいまいちわからず「リズムに乗って、韻を踏んで罵り合う口喧嘩が強いだけ」という偏見を持っていた。が、見た目に反して、自分の言葉を使って落ち着いたトーンで意見を述べるその態度には、大いに好感を持った。
その呂布カルマがこの間、「あちこちオードリー」(テレビ東京系)に出演した際、「ワイドショー番組での自分の発言がSNSで叩かれることが気にならないか」との質問に対し、「SNS叩きは全く気にしないですね。SNSでなんか言ってる奴らが力を持ってないことがもうわかったんで。あいつらの声がどこにも届いてないってことがわかったんで」と発言。番組MCの若林(オードリー)も「ああ…」と頷いて苦笑いするだけだったが、カルマのこの発言はまさに真実ではないか、と。3月いっぱいで「ワイドナショー」を降板する松本人志も「キリヌキ禁止」とか言って、自分の発言がSNSで騒がれることなど気にせず、このくらい性根の強さを見せてほしかった。
以前「トークィーンズ」(フジテレビ系)に出演した際にも「究極、口喧嘩って『うっせぇバカ!』って言ったら、そっちの勝ち」と発言。MCの指原莉乃といとうあさこから「『うっせぇバカ』は、何も言えなくなった時じゃないんですか」「逆っぽい感じがする」と反論されても「口喧嘩は論破したら勝ちじゃない」と返す。「先にそっち(『うっせぇバカ』)に至った方が勝つ」と答えたのだ。これにも激しく同意。ひろゆきに憧れて「それってあなたの感想ですよね」とかヌカしてくるクソガキなど「うっせぇバカ」と一蹴すればいいのだ。
そんなこんなで、ACジャパンのCMのおばあさんのラップどおり、「アタシも反省 見た目で判断 もう要らないわ色眼鏡なんか」とばかり、呂布カルマに注目している。
(堀江南)