「最も重要な戦闘がまもなく始まる。ロシアに奪われた領土を解放しなければならない」
ウクライナの「国境警備隊の日」にあたる4月30日、ゼレンスキー大統領は式典に参列した兵士らを前にこう述べて、近く大規模な反転攻勢に乗り出すことを示唆した。
それから3日後の5月3日未明、ロシアの首都モスクワにあるクレムリン(大統領府)が2機の無人機(ドローン)による攻撃を受けた。
西側諸国は「ロシアによる自作自演」か「ロシアないしはウクライナの地下組織によるテロ」との見方を強めているが、ロシア側は「ウクライナがアメリカの指示を受けてプーチン大統領を殺害しようとした」と断じ、「ロシアは必要なあらゆる対抗措置を取る権利を有する」として、ウクライナへの「報復」をチラつかせている。
そんな中、衝撃的な情報が飛び込んできた。ウクライナの国営原子力企業「エネルゴアトム」が発表したところによれば、ロシア軍が占拠している「ザポリージャ原発」で、「4号機」の原子炉建屋内に「爆発物」が配備されたというのだ。
しかもIAEA(国際原子力機関)も速報として「ロシアがザポリージャ原子力発電所4号機の近くに爆発物を配置したことを確認した」旨を伝えている。ウクライナ軍とロシア軍の情勢に詳しい国際軍事アナリストは、
「ICBM(大陸間弾道ミサイル)などの戦略核を使用すれば、世界最終戦争に発展する。ハルマゲドンへの懸念は局地的な戦術核を使った場合も同じで、戦争犯罪人のプーチンといえどもそのことは理解しているはずです」
こう前置きした上で、次のように指摘するのだ。
「一方、ザポリージャ原発はウクライナ軍による反転攻勢作戦の主要ルートに位置しており、ロシア軍がこの方面での戦いで劣勢に陥った場合、原子炉建屋の内外に仕掛けた時限装置を起動させてから敗走する、という局面は十分に考えられる。しかもこの場合、プーチンは『ウクライナ軍が誤って原発を破壊した』と言い張ることができるわけです」
ザポリージャ戦線は今、かつてない危機に直面しているのだ。