2021年1月に日本国内向けの運用が始まり、一躍大ブームが起きた音声コミュニティアプリ「Clubhouse」。今どうなっているのか、2年半ぶりに聴いてみた。
平日の昼間は10コンテンツにも満たない。時間帯のせいか1950年代、60年代の中高年向け、主婦向けのチャットルームばかりで、芸能人や有名人の本人認証をつけたユーザーは1人もいない(当たり前か)。
同アプリはルーム内での会話の記録は録音だけでなく、書き起こしやメモも禁止だが、2021年2月に藤田ニコルと池田美優が「Clubhouse」内で話したとされる内容が週刊誌に掲載されるや、スポーツ紙も巻き込んで大炎上。以降、自称芸能人の怒声とマウントが飛び交う場となり、「Clubhouse」ブームは文字通り、瞬く間に終わってしまった、
あるルームでは「ジャニーズ事務所の性加害」が議論されていたが、オバサンが「近所の子がジャニーにやられた」と吹聴している。一般人と思しき実名をわめく人間が常識人とは思えないので、2分で退出した。
たとえ芸能人の本人認証マークがあっても、顔の見えない相手同士、信憑性のない悪口やデマが飛び交う下劣な「ネットいじめ」「オジサンの自慢話」に辟易した記憶が蘇ってきた。
そう。だから「Clubhouse」を誰も聴かなくなったのだ。
今回「Clubhouse」を久しぶりに聴いたのは、コロナが5類移行後、病院外来や役所に「Clubhouseで誘われて」スピリチュアルや健康食品に傾倒し、メンタルや健康を害したと訴える人が出てきたからだ。まだ聴いている人がいたことに驚いたが、そのテのルームもいまだ存在するようである。
「Clubhouse」がブームになった2021年1月は新型コロナの第3波が来ていたから、孤独を癒やすように人が集まった。新型コロナが5類になった今、家に閉じこもる必要はない。何か悩みごとがあるのなら、五月晴れの外に繰り出し、しかるべき相手に相談してほしい。
(那須優子/医療ジャーナリスト)