列車の写真を撮る「撮り鉄」が次々とトラブルを起こし、問題視されている。なぜ悪質行為が繰り返されるのか。理由は「撮り鉄が同じ場所に集結すること」だと鉄道ライターは言う。
同じ場所に集まることで撮影するスペースが足りなくなり、線路に近寄ったり入ってはいけない場所に足を踏み入れる者が出てくる。それならば、別の場所でバラバラになって撮ればいいとも思えるが、そうもいかない理由があるそうで、
「ブームによって列車が撮り尽くされるなど、撮影対象が少なくなっているため、たまにレアな列車が走ると日本中の撮り鉄がそれをカメラに収めようと集結します。列車が走る路線全域にわたって混雑するんですよ。どこに行っても撮り鉄だらけ、という状態なんです」(前出・鉄道ライター)
さらに撮り鉄が同じ場所に集中する根本的な理由もあるそうだが、こちらはあまり知られていない。
「鉄道写真の良し悪しは『日の当たり具合』で決まります。列車の正面、そして側面と、見えている部分すべてにきれいに太陽光が当たっている写真がベストとされています(写真)。この状態を『バリ順(バリバリ順光の略)』と呼び、とにかく撮り鉄はバリ順を求めるのですが、路線によっては順光ポイントは限られてくるので、一カ所に群がってしまうんです」(前出・鉄道ライター)
撮り鉄の日向きに対する熱意は並々ならぬものがあり、特定の時間の太陽の位置を知ることができる地図アプリを使い、事前に調べておくのは当たり前。天気予報とにらめっこしながら撮影地を決めるそうだ。
「唯一、これが当てはまらないのが蒸気機関車です。SLの写真は大量の黒い煙を吐いている瞬間が評価される。煙はどこでも吐くわけではなく、負荷がかかる発車や登り坂が多い。それらのポイントは限られているため、やはり撮り鉄がそこに集結してしまうんです」(前出・鉄道ライター)
結局は撮り鉄それぞれのマナーの意識にかかっているのだ。