後半戦もいまいち乗り切れない巨人にあって、打線の軸になっているのが秋広優人だ。高卒3年目の今季に「巨人の3番」に定着。球団最年少となる20歳で4戦連続本塁打を達成した(7月16日~23日)。
「たまたまです」と本人は謙遜するが、久々に出てきた近い将来の「巨人の4番」に座る素材と、次第に評価が高くなる。問題は今後だ。
巨人ではこれまで91人が4番に座っている。91代目の4番は昨年に中田翔が座った。ここ最近、高卒で巨人生え抜きの4番となると、89代・岡本和真(2018年~)、82代・坂本勇人(2015、19、22年)、そして62代・松井秀喜(1995年~2002年)と数えるほどしかいない。
岡本が「打撃の師匠」と敬愛するのは西武のおかわり君こと、中村剛也で「もはや教えることは何もない」と中村本人が認めている。坂本には元日ハムの稲葉篤紀氏や元ヤクルトの宮本慎也氏がいた。
そして松井氏は1993年に星稜高から巨人に入団。「私が1000日かけて松井を巨人の4番する」とマンツーマンで徹底指導したのが、ミスタープロ野球の巨人・長嶋茂雄終身名誉監督だった。
一方、秋広が「師匠」と慕うのは、これがなんと中田翔だ。自主トレでも中田に同行し、やっていることを言えば「体重を増やすこと」(巨人担当記者)だけとか。今年のオフも「1日9合(茶碗18杯分)トレーニング」と銘打って、体重を5キロ増やして101キロという大台に乗せた。
「無理な体重アップは故障の要因にもなる」(別の巨人担当記者)
との声がある以外に、今の巨人では秋広の打撃をレクチャーする指導者がいないという危惧もある。
もともと巨人の育成下手は今に始まったことはない。ちなみに松井氏は高卒4年目に「開幕4番」に座り、当時史上最年少にしてセ・リーグMVPにも輝いていた。未来の巨人の4番に打撃の師匠がいない、この現実は如何ともしがたい状況だ。