世も末だ。小児科医が診察と称して、病気に苦しむ女児にわいせつ行為に及び、その様子を撮影していたというのである。
8月17日、強制わいせつの疑いで静岡県警掛川署に再逮捕されたのは、掛川市にある中東遠総合医療センター小児科診療部長の、43歳の医師だ。この小児科診療部長は7月末、すでに知人の10代女性への準強制わいせつ容疑で、同署に逮捕されていた。8月18日付の静岡新聞によれば、
〈同署は17日午後、掛川市菖蒲ケ池の同医療センターを家宅捜索した。捜査員約10人が容疑を裏付けるため、約1時間15分にわたり更衣室や管理課を捜索し、関係書類や白衣などを押収した。容疑者のスマートフォンにはわいせつな行為を撮影した複数の動画が残されていた。診察中、常習的に行為に及んでいたとみられる〉
スマートフォンに保存されていたわいせつ画像から、診察中の「余罪」が発覚したのだ。
逮捕された診療部長は、小児医療で有名な大学医学部の出身。地域の拠点病院を受診する子供は地元の小児科医から紹介されたり、手術が必要であったり、生まれつき障害があるなど「深刻な事情」を抱えていることがある。体調不良で抵抗できない子供を狙った、あまりに卑劣な犯行だ。
この病院の診療体制には、かなり問題がある。今の時代、犯罪防止のため、女性看護師が1名ないし2名が診察に立ち会うのは当たり前。医師が立ち去るよう命じても、看護師は男性医師と子供を絶対に2人きりにさせない。
わいせつ医師から我が子を守るために親ができることは、
【1】診察や検査に親が立ち会う
【2】それが難しいようでれあれば、看護師や技師を呼ぶ
【3】必要以上に子供の体を触る、子供の衣服を脱がせようとする男性医師がいたら、交代してもらうか、別の病院に逃げる
今は聴診も触診も、服の上からが基本。腹痛を訴える子供や、お腹の病気で来院した子供の服をめくり、入念にお腹を触ることはあるが、脱がせてしまったり、下半身を触るなどということはない。
処置のために、親は診察室や処置室から出ていくよう言われることもあるが、その場合は必ず、処置に立ち会う看護師を呼んでほしい。
(那須優子/医療ジャーナリスト)