中国国営通信の新華社は8月22日、日本政府が東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を8月24日に開始する方針を決定したことについて「汚染水の海洋放出」と速報した。中国当局は日本の海産物を輸入する際は全面的な放射線検査を始めるなど、せっせと嫌がらせに励んでいるが、日本側からは反発が起きている。
宮城県選出の自民党・小野寺五典元防衛相は8月20日のフジテレビの番組で、こう明かしている。
「危険だ、危険だと言っているが、中国や台湾の漁船は、大挙してサンマを獲りに来ている。言っていることと、やっていることが全く違う。外交的にこういう矛盾を指摘して、政治的にしっかりと対応すべきだ」
サンマは8月から12月にかけて、親潮に乗って北海道沖から三陸沖へと、太平洋岸を南下する。だが最近は親潮の流れが弱まったこともあり、漁場が形成されにくくなっている。昨年のサンマ水揚げ量は、過去最低を更新した。親潮以外に水揚げ量減少に影響を与えていると取り沙汰されているのが、小野寺氏が指摘したように、中国や台湾の大型漁船による公海上での漁獲量が増えていることだ。
8月中旬に北海道根室市の花咲市場で競りが行われたが、高いもので1キロ当たり14万円の値がついた。最も高いものでは、1匹あたり約1万7000円にも。庶民の魚が高級魚となっているのだ。
中国は「汚染水」と称して海洋放出に反対するのなら、当然、サンマ獲りの中止を発表していいはず。だが、そんなことをする様子はない。
新型コロナウイルスの感染拡大で停止していた、日本への団体旅行を約3年半ぶりに解禁したばかりだが、これも中止するとは言っていない。中国の二枚舌に踊らされてはいけないのだ。