公明党の山口那津男代表は「なっちゃん」と自称し、親しみやすさをアピールしているが、「別の顔」も持つ。中国や韓国への「迎合」だ。それを象徴するような発言が、7月2日にあった。
山口氏は今夏にも予定されている東京電力第一原発の処理水海洋放出について、福島県を訪問した際、次のように発言している。
「いたずらな不安を招かないように、配慮があってしかるべきだ。(海水浴の)シーズンにわざわざ排出する理由も特にない」
処理水をめぐっては、希釈して海に流すための、海底トンネルの設置が6月下旬に完了。原子力規制委員会による検査でも問題は見つからず、放出の準備は整っている。これに対し、中国外務省の毛寧報道官は、
「国内外の懸念を重視し、強引に放出を進めないよう日本に求める」
と牽制。日韓関係の改善を目指す韓国の尹錫悦政権は、国際原子力機関(IAEA)の検証で安全性が確認されれば処理水放出を容認する立場だが、韓国国会で多数を占める野党の賛成多数で、放水計画の撤回を求める決議案が、6月30日に賛成多数で可決された。
山口氏の発言はこうした中韓の動きに乗ったものであり、
「風評(被害)を招かないよう、慌てないでしっかり説明を尽くしてほしい」
と日本政府に求めた。公明党は支持母体の創価学会も含め、日中国交正常化に尽力したという歴史から「親中路線」をとっている。
自民党側からは山口発言について「こういう発言こそ風評被害を惹起するということが分からないのか」(松本尚衆院議員)などと批判するツイートが相次いだ。日本維新の会の音喜多駿政調会長も「いくらなんでも不見識」と発信した。
公明党は衆院小選挙区の候補者調整で、東京では「自民党との信頼関係は地に落ちた」として自民党候補を推さない方針を示したかと思えば、日本維新の会がこれまで候補者擁立を控えていた大阪・兵庫の6選挙区で候補者擁立方針を決めたのを受けて、自民党とヨリを戻そうとするなど、見識のない態度が自民党の反発を招いている。
自民党内から一斉に批判の声が上がったのも、山口氏ら公明党の節操のなさが影響しているのだ。