中央開催に戻って、秋最初の東の重賞となる京成杯AH。競馬を生業にしていると季節の移り変わりは早い。夏のローカル競馬は、あっという間に過ぎ去ってしまった感はあるが、しかしこの重賞は、この夏続いてきたサマーマイルシリーズの最終戦。ボーナスを手中にと、なかなかのメンバーがそろった。
今年で68回を数える伝統あるハンデ戦。よく荒れることで知られる。まずはデータをひもといてみよう。
02年に馬単が導入されて以降、これまでの21年間、その馬単による万馬券は7回(馬連は6回)。この間、1番人気馬は5勝(2着0回)、2番人気馬は6勝(2着2回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は0回。データからも波乱含みの重賞であることが、よくわかる。
年齢的には、充実著しい5歳馬が圧倒的と言っていいくらい、よく連に絡んでいる。過去21年間で12勝(2着9回)は、まさにダントツだ。
その前後の4歳馬と6歳馬がそれに続く格好だが、ハンデが比較的軽くなる上り調子の3歳馬も、出走頭数が少ない割によく連絡みしている。3歳馬はおおむねハンデに恵まれるからで、そうした軽量勢がよく穴をあけているのだ。今年も2頭の3歳馬が出走を予定しており、目が離せない。
ハンデは54㌔〜56㌔の馬が勝ち負けするケースが多いが、実績ある古馬も頑張っている。57㌔以上の重い斤量を背負っているからといって、軽く見るのは禁物だ。
そして、もう一つ注目したいのが、この中山のマイル戦は、2コーナーのポケットからスタートするため、多頭数になればなるほど外枠が不利になること。スタートして加速がつくところで急に折れる最初のコーナー(2角)があるからだ。現時点で枠順は不明ではあるが、狙ってみたいのは、3歳馬のトーセンローリエだ。
前走のクイーンSは6着に敗れたが、3カ月半ぶりのレースで前走比プラス16㌔と重め残りの仕上がり状態。しかも、出遅れた。にもかかわらず、勝ち馬とはコンマ4秒差という悪い内容ではなかった。ならば、巻き返していいはずだ。
未勝利-1勝クラス-アネモネSと3連勝を飾り、その次の桜花賞は疲労も重なり、18着と大敗を喫したが、ここはアネモネSと同じ舞台でもあり、力は確か。自在性があり、レース上手ということから、万が一、大外枠を引いても、そう大きな不安材料にはなるまい。ハンデは恐らく前走と同じ51㌔前後。期待したい。
一方、西のセントウルSは、GⅠスプリンターズSのトライアル(1着馬に優先出走権)。イチオシしたいのは、ブトンドールだ。
前走の函館スプリントS(5着)は、前走比プラス10㌔と、やや重め残りで余裕残しの状態だった。しまい伸びきれなかったのは、そのためだ。
先日のキーンランドCは除外されたが、しっかりと調整されている。締まった体つきで実に雰囲気がよく、仕上がり状態に不安はない。
3歳牝馬ということで他馬と比べて斤量面でも有利で、陣営も今後「スプリント戦に集中させたい」と話しているように、古馬の強敵相手でもやれていい。良馬場なら直線一気の末脚が見られそうだ。
もう1頭、ジャングロにも注目したい。
前走は1年3カ月ぶりの実戦となったアイビスサマーDで、見せ場たっぷりに差のない6着(勝ち馬とコンマ6秒差)。休み明けを一度使われた今回は、身上のスピードを存分に生かせそうなだけに、要注意だ。