日本ダービーが終わりひと段落、とはいかない。今週の安田記念が今春、連続して行われたGI戦線の楽日となる。
今年は21頭の登録があり、フルゲート(18頭)は必至。顔ぶれも多彩だ。
毎度のこと見応え満点の激しい競馬が繰り広げられているが、今年は昨年の朝日杯FSでドウデュースにコンマ1秒差で2着した3歳馬のセリフォスが挑戦。古馬勢もマイル実績のある馬ばかりで、どう転ぶか予断を許さない、見応え満点のレースになることは間違いない。
まずは、その個性豊かな顔ぶれを見てみよう。
GI勝ち馬が6頭、出走馬決定順位で18頭中17頭が重賞勝ち馬という超豪華版である。GI馬はサリオス(朝日杯SF)、シュネルマイスター(NHKマイルC)、ダノンザキッド(ホープフルS)、レシステンシア(阪神JF)、さらに短距離界の雄ナランフレグ(高松宮記念)、ダート界の王者カフェファラオ(フェブラリーS)が参戦。
そしてGIで連対実績のあるヴァンドギャルド、セリフォス、ソングライン、ファインルージュ、ロータスランドの5頭のほか、目下4連勝中で前走重賞を制したイルーシヴパンサーとソウルラッシュなど、まさに錚々たる面々。どれだけエキサイティングな競馬になるか、胸躍る一戦と言っていいだろう。
過去のデータを見てみると、ひと昔前まではハンデ戦でよく荒れていたが、その傾向は定量戦になった今でも変わらない。
03年に馬単が導入されて以降、これまでの19年間、その馬単での万馬券は12回(馬連は7回)。この間、1番人気馬は3勝(2着3回)、2番人気馬も3勝(2着1回)。1、2番人気馬によるワンツー決着はわずか1回のみで、波乱含みのGIと言っていい。
年齢的には充実の4、5歳馬が最近よく連対を果たしているが、過去19年で見ると6歳馬が8勝(2着2回)と最も勝っており、4歳馬の5勝(2着5回)、5歳馬の4勝(2着8回)を大きく上回っている。7歳馬も1勝(2着4回)をあげており、出走頭数が少ないわりに古豪がよく善戦していることは、頭に入れておくべきだろう。
今年は特に難解なGIだが、狙ってみたいのは、牝馬のソングラインである。
牡馬に伍しての競馬で、しかも前走のヴィクトリアMから1キロの斤量増。楽な競馬は望むべくもないが、それでも目下の充実ぶりを思うと、期待しないわけにはいかない。
前走はサウジアラビア遠征後、ひと息入った一戦。しっかり調整できて仕上がってはいたが、完璧とは言い難かった。そのため、好スタートを切ったものの道中、行きっぷりにややスムーズさを欠き、もまれたり、つまずいたりする場面もあり、しまい伸び切れず5着に敗れた。それでも勝ち馬とはコンマ3秒差。大きく負けたわけではない。
帰国後、一度使われたことで気配がすこぶるよくなっており、今回は池添騎手の指示どおりの反応を見せてくれるはずだ。
レース間隔が詰まっているため、中間は強い調教をしていないが、雰囲気はよく、稽古の動きは軽快そのもの。まずは持てる力を存分に出せる仕上がり状態とみて間違いない。
ロジユニヴァース(ダービー)、ディアドラ(秋華賞)といった活躍馬が近親、一族にズラリといる良血。NHKマイルC2着、関屋記念3着、富士S1着とマイル戦では絶対的とも言える実績を残しており、勝ち負けになってなんの不思議もない。
道悪にならない限り、大きく狙ってみたい。