3歳女王の座に就くのはどの馬か。今週は「樫の女王」を決定するオークスがメインとして行われる。フルゲート(18頭)が見込まれており、顔ぶれ多彩な美女たちの競演だ。
桜の女王に輝いたスターズオンアースを筆頭に、ハナ差及ばなかった桜花賞2着馬ウォーターナビレラ、忘れな草賞(残念桜花賞)を圧勝したアートハウス、2歳女王のサークルオブライフ、トライアルのフローラSを制したエリカヴィータと2着馬パーソナルハイ。さらに、フラワーCを勝ってここ一本に備えたスタニングローズ、桜花賞5着馬のピンハイ、同7着のベルクレスタ、1番人気を背負って10着に敗れ、巻き返しを図るナミュールなど、いずれの馬にもチャンスがありそうな混戦模様。まさに豪華版の一戦だ。
では、どんな傾向があるのか、過去のデータを見てみよう。馬単が導入されて以降、これまでの19年間、その馬単による万馬券は6回(馬連も6回)。この間、1番人気馬は8勝(2着3回)、2番人気馬は2勝(2着5回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は4回。こう見てみると、堅い時と荒れる時が両極端で、そのあたりの判断が大事ということなのだろう。
しかし今年は、その判断がなかなか難しい。ハイレベルで力が拮抗しており、そう簡単には収まるまい。
血統的には、ディープインパクト産駒の活躍を見るまでもなく、サンデーサイレンス系の血統が多く勝ち負けしており、過去19年においてもサンデー系の直仔、またその孫は13勝と、他を圧倒している。そのあたりは頭に入れておいて損はないだろう。
それからやはり、ジョッキーは一流どころの活躍が目立つ。近5年ではルメール騎手が〈2 1 0 1〉、デムーロ騎手が〈2 0 1 2〉とよく勝ち負けしており、前者が桜花賞馬のスターズオンアース、後者が2歳女王のサークルオブライフに騎乗する。いくら穴党とはいえ、この2頭を軽く見るわけにはいかない。
混戦模様と前述したが、もろもろ考慮したうえで浮かび上がるのは、ニシノラブウインクである。桜花賞出走組ではなく、評価は一枚落ち。穴党としては格好の狙いと思うからだ。
フラワーC2着で賞金的には桜花賞への出走も可能だったが、陣営としてはハナから使う気はなかった。しっかり間隔を置いてオークスを目標にしたのは、オーナーサイドの意向でもあり、レース後は短期放牧でリフレッシュ。しっかりと調整を積んできた。
小手川調教師がオークス挑戦のいきさつを話す。
「これまでは道中我慢させ、しまいを生かす戦法のみだった。しかし前走は2番手で折り合い、早めに抜け出して差されはしたが、あの競馬ができたのは収穫。精神面で成長しており、これならオークスに行けると判断した」
精神面だけではない。肉体面でもたくましくなり、背腰がしっかりとして「父親(エピファネイア)似になってきた」と、小手川師が目を細めるほどだ。
父エピファネイアは、菊花賞とジャパンCを制している。距離の不安などあろうはずはなく、むしろ芝2400メートルは歓迎と言っていい。サンデーサイレンスの4×3の近親配合(奇跡の血量)も魅力だが、母系は欧州の一流血脈。女王の座に就くにふさわしい血統馬なのである。
1週前の追い切りは上がり重点の併せ馬。時計は平凡だったが、しまいの伸びは軽やかで実によかった。強敵相手でも十分やれてよく、馬場がよほど悪くならないかぎり、大きく狙ってみたい。