巨人が今季127試合目となる阪神戦(9月12日)で0-1と完封負け。数字上、わずかに残されていた優勝の可能性が完全に消滅した。原巨人では初となる3年連続のV逸。原辰徳監督は「現実は現実でしょうね。現実と受け止めて」と言いながら終始目は虚ろだった。
そんな意気消沈の原監督に代わって大久保博元打撃チーフコーチが「打てない責任は完全に僕にあるが、幸いなことにCS(クライマックスシリーズ)に行ける戦いは続けられるわけだから。Bクラス争いを2年やっちゃダメ」とチームに檄を飛ばしていたが、今季の巨人は打てない上に守れない。
ポジティプな面はなかなか見当たらないが、2軍では防御率がリーグトップ。理由の一つに、2軍3軍を「統括」する桑田真澄総監督の存在がある。2軍の試合ではベンチにこそ入らないが、故障で調整中の大勢のリハビリフォローなど、1軍の成績が悪い中でも選手間での「桑田支持率」が爆上がり。選手のみならず、早大、東大の大学院に通ったパイプを生かした「野球勉強会」などに若手コーチ陣を積極的に誘うなど関係は良好だ。
今季から就任した「総監督」という役職は本来ならフロント組だ。昨季、原監督と投手起用を巡って軋轢が生まれ「人事異動」の通告を受けたが、「ユニフォームは着ていい」という球団からの通達があり、背番号は桑田総監督が師と慕う一人、藤田元司元監督が好んでつけた「73」を引き続き背負っている。
1軍が絶体絶命のピンチにもかかわらずポスト原に「桑田総監督」の名前が出てこないのは、読売新聞・渡辺恒雄主筆との微妙な関係がある。
渡辺主筆は現役時代の桑田総監督の不動産トラブルによる借金「17億円」を暴露している。桑田総監督が巨人で引退試合ができなかったのもこれが理由だった。
「桑田さんはいつか監督をやりたい希望があります。楽天やDeNAに監督になりたくて売り込みをかけたこともある。中日の立浪和義監督が誕生する前には、よりによって桑田さんが中日の監督になる情報も流れた。新聞の部数が毎年減る中で中日新聞をライバル視している渡辺主筆の耳に入り、桑田さんとの関係が完全に冷えきったと聞きました」(夕刊紙記者)
昨季15年ぶりの巨人復帰は全権監督の原監督の強い推薦があって、巨人のフロント陣も桑田入閣のYESを出した。その原監督との関係さえ微妙では、桑田総監督が巨人の監督になる可能性は限りなくゼロに近い。
(小田龍司)