犯罪行為を個人で取り締まるYouTuberが急増している。先日、ジャニーズタレントの舞台チケットを高額転売する女性を逮捕したという動画がSNSにアップされ、「私人逮捕」がトレンド入りした。ライバルの登場によって動画の内容は過激化し、今後はYouTuberの方が逮捕される可能性もある。
「9月13日から14日にかけ、犯罪撲滅活動家を名乗る人物がX(旧Twitter)やYouTubeに『ジャニーズ美人違法チケット転売ヤー確保』などと題した複数の動画をアップしました。動画ではジャニーズタレントが出演する舞台のチケット、定価1万3300円を7万円で複数人に転売していた女性を現行犯で捕まえ、警察に引き渡す様子が収められていたのです。社会問題にもなっているチケットの高額転売の犯人を逮捕したことに称賛の声が上がる一方で、1人の女性を複数の男性で取り囲んで撮影をおこない、服や体を掴んで女性を制止する姿には批判の声も相次いでいます」(ウェブライター)
最近では、こうした「私人逮捕」を撮影した動画が人気で、転売ヤーの他にも痴漢や盗み撮り行為などを個人で取り締まるYouTuberが増えている。もともとは偶然痴漢の現場などに居合わせた人が犯人を逮捕する模様を撮影した動画が『スカッと系』として話題となっていたのだが、自ら犯人を探しに行くといった自警団化した集団へとエスカレート。中には「駅を3時間以上徘徊していた男性を異常だとして警察に連れ行く」などと、私人による冤罪逮捕動画も問題となっている。ウェブライターが続ける。
「本気でただ犯罪を撲滅したいのであれば、警察に撮影した証拠と犯人を引き渡せばいいだけの話で、わざわざYouTubeにアップする必要はなく、再生回数を上げ収益を得たいという狙いが透けて見える場合もある。すでにグレーゾーンどころか一線を越えている動画がいくつも見られますが、動画をアップすることでYouTuber自らが行き過ぎた行為をしている証拠を残すことになります。正義感を振りかざして私人逮捕したつもりがYouTuber側が逆に逮捕されるなんてケースも増えていくると思いますよ」
今年の上半期は飲食店で迷惑行為を撮影した若者の逮捕が相次いだが、下半期は私人逮捕系YouTuberの逮捕が続発するかもしれない。
(小林洋三)