1959年3月のチベット動乱で亡命したのち、1989年にノーベル平和賞を受賞したチベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ14世。すでに87歳とあり、後継問題についての議論が行われているとされる。チベット仏教では、死去後に生まれ変わりを探す「輪廻転生」という伝統制度で、次期指導者が選出されることになっている。
「輪廻転生」とはすなわち、人は何度も生死を繰り返し、新しい生命に生まれ変わることを指す。輪廻は車輪が回る様子、そして転生は生まれ変わることを意味する。
この考え方はなにもアジア周辺地域に限ったものではないのだが、アメリカで現在もなお、まことしやかに囁かれるのが、ジョン・F・ケネディ元大統領の「エイブラハム・リンカーン生まれ変わり説」だ。
というのもこの2人、経歴からその死に至るまで、あまりにも共通点が多すぎるのだ。
例えばリンカーンの初当選は1846年、対してケネディはその100年後、1946年に当選している。リンカーンは1856年、ケネディは1956年にそれぞれ副大統領候補となり、さらにリンカーンは1861年、ケネディは1961年に大統領になっている。
「仕事面だけでなく、この2人には家族に関しても不思議な符号が多く、リンカーンの息子とケネディの父親がイギリス大使だった。2人とも子供を4人もうけるも、次々に病気や不慮の事故で亡くなり、40歳を過ぎて生存していた子供は1人だけでした。2人が暗殺されたのは祝日の前の金曜日で、リンカーンはフォード劇場、ケネディはフォード車の上だった。不思議なことに、2人の暗殺者の生まれ年が1839年と1939年で、ちょうど100年違いだったことで、アメリカではテカムセの呪い(大統領に降りかかる災難)、ケネディ家の呪いとして、その輪廻転生説が広がったといわれています」(アメリカ史研究家)
この話題に拍車をかけたのが、ケネディ大統領暗殺事件を検証したウォーレン委員会報告書にまつわり、その後に飛び交った陰謀説や憶測を交えた告発本だった。
加えてマルコムXやキング牧師などの暗殺事件が続発したことによる社会不安も、「輪廻転生」「生まれ変わり」「呪い」説などを広める要因になったようだ。
(ジョン・ドゥ)