加齢とともに生じる股関節の痛み。最も多いのは「変形性股関節症」だ。
長年の体の負担や怪我が原因で股関節の軟骨がすり減り、炎症を起こすことで股関節に痛みや動きにくさを感じる病気だ。加齢に伴って発症する可能性が高くなる影響のため、高齢者の有病率は約5%というデータもある。
「変形性股関節症」の初期症状で最も顕著なのは、歩行や起立、階段の昇降などの日常の動作に伴う痛みだ。放置すると次第に股関節の周りの筋肉が硬くなり、可動域が狭くなっていく。
「立ち上がりや歩き始めに、脚の付け根にズキズキとした痛みを感じる」「足の爪切りが困難になる」「靴下が履きにくくなるなど、日常生活に支障をきたす」‥‥。これらの症状に当てはまる場合は「変形性股関節症」の可能性がある。
他にも初期症状として、脚の付け根のこわばりや痛み、膝痛、臀部痛もある。進行すると、股関節の痛みが強くなり、関節が音を立てたり安静時にも痛みを感じたりするようになるため、できるだけ早めの対処が必要だ。
「変形性股関節症」は、進行するほど、治療の選択肢が限られるため、できるだけ早く整形外科を受診することがポイントといえよう。
予防法は、股関節への負担の軽減のためのストレッチ、適度な筋トレが効果的だ。特に、「スクワット」は下半身全体と股関節周囲の筋肉を鍛えることで、股関節への負担を和らげる効果がある。理想は、膝が90°になるまで腰を下げることだが、腰を痛めてしまうこともあるため無理のない範囲で行いたい。
ストレッチや筋トレは予防だけでなく、進行予防にもなるため、日頃から継続的に行うことがポイントだ。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。