福島県とTOKIOの復興の絆を批判する人は少ないだろうが、東京都が「旧ジャニーズ事務所」とともに神宮の杜を破壊する再開発事業を強行するとなれば、都民は黙っていないだろう。
10月15日の「ザ!鉄腕!DASH!!」3時間スペシャルの最後に「重大発表」があった。東京都が進める神宮外苑再開発事業を前に整備される「都立明治公園」(東京都新宿区)の「杜づくり」を、TOKIOの3人と「旧ジャニーズ事務所」所属のSexy Zone松島聡、Travis Japan松田元太らが担当するというのだ。
再開発には地元から反対の声が上がっているが、東京都は同公園の一部を10月31日に開園させるという見切り発車に打って出た。
ちなみに筆者は、神宮外苑再開発には賛成のスタンスである。老朽化した神宮球場にプロ野球、大学野球を見にくる高齢者はガタガタな段差で危険な目に遭っているし、可憐なビール売り子は急な階段で膝がキツいとボヤいている。
秩父宮ラグビー場は狭い上にトイレが少なく、ハーフタイムでは女子トイレ前に捌ききれないほどの長蛇の列ができる。神宮外苑を象徴する絵画館前の銀杏並木が保全されるなら、反対する理由はあまりない。
そうしたスタンスの下で、今回の東京都と「鉄腕DASH」のコラボ企画を胡散臭いと感じるのは、「都立明治公園」は東京都が初めて「Park-PFI」を活用する公共事業だということ。Park-PFIとはいわば「公園の民営化」。公園内に設置した飲食店や売店などの施設から得られる収益を元に、公園施設(特定公園施設)の整備や維持等を行なう民間事業者を公募で選ぶ制度だ。
公募で決まった民間事業者は東京建物、三井物産、日本工営、西武造園、読売広告社、日テレアックスオン…。あら不思議、「鉄腕DASH」を放送する日本テレビと読売新聞の系列企業が名を連ね、「鉄腕DASH」3時間スペシャル内でCMが流れたのも、三井住友ビザカードと三井不動産(神宮再開発事業者)だった。
読売グループと三井不動産は東京ドームシティの運営実績があるほか、築地市場跡地再開発も手がける予定で、これまでのノウハウを元に、神宮外苑をボールパークとして再開発すること自体に問題はない。
だが、都民の税金が投入されている東京都の公共事業を「日本テレビの番組コンテンツ」と、ジャニー喜多川氏による400人以上の少年への性的暴行や猥褻行為が明らかになった「元ジャニーズ事務所」が公金チューチューするのは、いかがなものか。ましてや同公園を利用するのは子供たち。公園のテーマである「100年後のレガシー」どころか、開園前から性加害を想起させ、黒歴史になることは間違いない。
元ジャニーズ事務所と日本テレビは、10月15日に「都立明治公園プロジェクト」を発表。その2日後の17日付で元ジャニーズ事務所は社名を「SMILE-UP.」に変更した。これもまさか東京都からの「指名停止」を避けるためのブラフ…というのは邪推だろうか。
(那須優子)