10月28日に京セラドームで行われた日本シリーズ初戦。阪神はオリックス山本由伸投手を攻略し、8-0で勝利を収めた。スポーツライターが振り返る。
「日本を代表する投手だけに山本を打ち崩すのは難しいとみられていましたが、まさかの大量得点。猛攻のきっかけとなったのは0-0で迎えた5回表。先頭の佐藤輝明がヒットで出塁。続くノイジーの初球に意表を突く盗塁を成功させ、ここから阪神に流れが一変。この回一挙に4得点を挙げました。この佐藤輝の盗塁が初戦の勝敗を分けたポイントと言えるでしょう」
この盗塁について、阪神前監督の矢野燿大氏と阪神OBの下柳剛氏が10月30日放送の「newsおかえり」(ABCテレビ)で語っている。
矢野氏は佐藤輝の初球盗塁について聞かれ「(阪神に)前もっての準備があったのかなと」として、こう続けている。
「山本くんでも隙が出ることがある。例えばランナーが近本(光司)や中野(拓夢)であれば、(山本は)万全の注意を払って走られないような準備をしてる。でも佐藤輝のときはちょっと警戒が薄れてしまう。今季7個しか盗塁してない選手だから。そういうときこそチャンスが出るとタイガースは前もって準備していると思う」
さらに矢野氏は、ファーストコーチャーの筒井壮外野守備走塁コーチがその準備としてスコアラーと綿密に分析していると説明していたが、一方で下柳氏は、
「たぶん『ピクイチ』のサインが出ていると思います」
とコメント。司会者が「ピクイチ?」と聞き返すと、
「もうピッチャーのどこかが動いたらセカンドに行けと」
と説明していた。普通では打てない山本を攻略するにはギャンブルが必要だが、そのぶん準備も万全で臨んでいるということ。第3戦以降も、そんなアッと言わせる攻撃が見られるか。
(鈴木十朗)