地味で友達も恋人もいないアラフォーOLの田中京子さん。実は彼女には会社や周囲には内緒にしている「裏の顔」があった。それはアフター5や休日になると、スタイル抜群で超妖艶なベリーダンサー「Sali(サリ)」として、舞台で踊っているということ。
ところがある日、同僚の派遣OL・倉橋朱里に、田中さんとベリーダンサー「Sali」が同一人物であることがバレてしまう。「恥ずかしいから絶対に内緒にしてほしい」と懇願する田中さん。一方の朱里はというと、「若くてカワイイことしか、自分に市場価値はない」と焦って合コンに明け暮れる日々に虚しさと生きづらさを感じていたが、田中さんの生き様に憧れ、惹かれていく…。
これはいったい何のことかといえば、今期のドラマの中で一番の推しである「セクシー田中さん」のストーリー。芦原妃名子の同名漫画を原作にした作品だ。
身もフタもない言い方をすれば、よくあるシスターフッド、女同士の友情物語だが、「ベリーダンス」という珍しいアイテムを入れたことで物語に膨らみが生まれ、単なるコメディーに終わらない深さが感じられる作品になっている。
まず素晴らしいのが、各俳優陣の演技だ。特に田中さん役の木南晴夏は、化粧っ気のない眼鏡をかけた地味なOL姿も、舞台用の派手な化粧をしたベリーダンサーとしての姿も、どちらも原作漫画からそのまま出てきたよう。
先日、木南は「おしゃれクリップ」(日本テレビ系)に出演した際、デビューしてからずっとヒロインのオーディションを受けても落ちてばかりで、与えられるのは「ヒロインの友達」という役ばかりだったことに悩んでいた…と明かしていた。
「なんで私はヒロインになれないんだろうと思って、オーディションのやり方とかも変えてみたりしたんですよ。ヒロインに選ばれたくて」
そう打ち明ける木南は「向いてないのかな、役者自体」とも思ったそうだが、映画「20世紀少年」にヒロイン・カンナの友人・小泉響子の役で出演したのをきっかけに仕事が増えるようになった、と。それを機に「なんだ、友達役でも見ててくれる人はいるんだ」と感じ、仕事へのマインドが変わったという。
そんな紆余曲折を経た木南だからこそ、振り幅の大きい「田中さん」という役を演じられるのだろう。今回の出演にあたり、ベリーダンスを初めて練習したとは信じられないほど板についているし、細くてスタイル抜群な彼女が踊るシーンは、否が応でも惹きつけられる。
そして朱里役の「めるる」こと生見愛瑠。最近は女優としての活躍が目覚ましい。以前、みちょぱ(池田美優)がラジオ番組「#みちょパラ」で、「好きなギャルタレントランキング」の2位が生見だったことに、
「(めるるは)もうすごい女優さんですから。新人アカデミー賞みたいなのもね、ノミネートされたぐらいの女優さんですから。ここに入れないであげて!」
と言っていたくらいだ。このみちょぱの発言は、映画「モエカレはオレンジ色」の演技が評価された生見が、第46回日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞したことを受けてのことだった。今回も「明るくて誰からも好かれるが、心のどこかに焦燥感と空虚を抱えている」役を見事に演じている。
第2話では、田中さんに憧れた朱里が、同じベリーダンス教室で体験レッスンを受けるのだが、めるるがCM出演する蒟蒻ゼリーのように、ぷにぷにのお腹がチラリと見える。
さらに2人以上にいいものを見せてくれたのが、ベリーダンス教室のMiki先生を演じる、高橋メアリージュンだ。本来、ベリーダンスとは、ふくよかな体を揺らして踊ることで妖艶さをより強調させるそうなのだが、その先生らしく、いい感じの肉付きを見せるメアリージュン。「あれ、彼女ってこんなにふくよかだったっけ」と思うほどだが、ものすごく「らしい」雰囲気を醸し出している。
レッスン運動量の激しさと、自分の踊りのセンスのなさにしょげてへたりこんでしまった朱里に、前屈みになって励ましの言葉をかけるシーンでは、垂れ下がった2つの果実が開いた襟元からズバッと見えて、思わず「セクシー高橋さん!」と叫んでしまった。
そんなこんなで見どころ満載の、このドラマ。見逃し厳禁だ。
(堀江南)