「中には怖いものもあった」
朝のワイドショー「DayDay.」(日本テレビ系)でMCの山里亮太がそう語ったのは、愛妻・蒼井優が巻き込まれた「フェイクニュース騒動」だった。
騒動の発端は、11月上旬に立ち上げられた「れいわ新選組」を名乗るサイトと、「れいわ新選組を応援する芸能人まとめ」サイト(すでに削除済み)。
これらのサイトでは、同党の支援者ではない蒼井と山本美月、加藤清史郎から寄せられた意見として、次のように紹介されていた。
〈私は、れいわ新選組の政策に共感します。太郎さんは、若者に対して、真摯に向き合ってくれています。私自身も、太郎さんのように、社会に貢献できるよう、これからも努力していきたいと思います〉
あたかも本人達が語っているような偽コメントが掲載、拡散されたのである。偽コメントの被害にあった3人が所属する各プロダクションは、全くの事実無根であると声明を出した。
ところが本当に気味が悪くゾッとするのは、この騒動の後日談だ。山里の説明によると、
「今回、身内(妻の蒼井)がそういう目に遭い、自分も公式アカウントで否定をしたところ、それ(フェイクニュース)を否定する人を否定する人まで現れた」という。
この山里の説明、一回読んだだけでは意味がよくわからないだろう。
名前を悪用された芸能人の所属プロダクションと、れいわ新選組が「事実無根」と3人の芸能人の発言を否定したにもかかわらず、芸能人の政治信条が権力で捻じ曲げられたと信じ込む「陰謀論者」が、名前を悪用された芸能人関係者に「事実を否定するな」「芸能人の政治信条に口出しするな」などの誹謗中傷や脅迫コメントを送っているのだという。
番組中、山里が語ったところによれば、「妻の政治主張を否定するのか」「妻の政治信条を否定する夫を許さない」という脅迫まがいのコメントが届いた。そのあまりの狂気ぶりに、山里が恐怖を感じたというのだ。
れいわ新選組は騒動翌日の11月10日に「れいわ新選組は全く承知しておらず、そのような事実もないと考えております。れいわ新選組及び代表山本太郎の名誉を著しく既損し、信頼を損なう可能性が高いと考えており、法的措置を取ることを検討しております」と公式見解を発表したが、あくまで現段階では法的措置の「検討」にとどまっている。
れいわ新選組に「本当にデマを流した犯人に法的手段をとるのか」あるいは「自称れいわ支持者による誹謗中傷や脅迫コメントについて」の取材を申し込んだが、期日までに回答はなかった。
全く関係のない有名人に迷惑をかけたことより、党代表の名誉毀損に真っ先に言及する…。山本太郎代表の人間性と政党の本性も、同時に透けて見えたのだった。
(那須優子)