自民党の杉田水脈衆院議員と共同通信の争いが勃発した。共同通信が11月10日に「杉田氏がヘイト扇動『在日特権、存在する』」との見出しで記事を配信したのがきっかけだ。地方紙にも多く掲載されたが、これに杉田氏がXで猛反論する事態になっている。
〈朝日新聞は、私のショート動画を引用した記事の中で、差別に関わる利権や特権は「存在しない」と断言しました。しかし、実際には存在します〉と杉田氏が投稿したのが11月4日。杉田氏の言動を取り上げた朝日新聞の11月1日の記事に反論したものだが、これに共同通信が噛みついたのだ。
共同通信は「在日特権」について、次のように杉田氏を批判した。
〈在日コリアンが「隠れた特権」に基づき日本人を搾取しているとの趣旨の差別的言説。ヘイトスピーチと位置付けられ、交流サイト(SNS)を中心に拡散している。レイシズム(人種差別主義)を助長する恐れがある〉
これに対し、杉田氏はXで反発。
〈世間には特権が「ある」という人と「無い」という人、両方が存在します。であるならば、両方の意見を開陳する機会は均等に確保されるべきです。「特権がある」という意見を「ヘイトの扇動」と決め付け、黙らせようとする報道機関があることに大変驚いています。 対立する意見がある場合は、一方の否定から入るのではなく、相手の意見を尊重し、言論と言論でやり合うのが正しい姿だと思います。北朝鮮による拉致事件も「無い」ことにされていました 慰安婦の強制連行・性奴隷は事実のように報じられ、それを否定すると「歴史修正主義者」とレッテル貼りをされました 今はどうですか?〉
共同通信は事実関係を伝える通信社ではあるが、フリージャーナリストになった青木理氏らが在籍したように、リベラル色が強いメディアとして知られている。
杉田氏は自民党幹部らの働きかけもあり、これまで沈黙していた。総務政務官を昨年12月に辞めさせられるなど一方的に攻撃されてきたが、言うべきことは言うと反撃に出ている。
政治家はメディアからの批判に押されっぱなしだが、SNSや動画の普及により、すぐに反論できるようになった。共同通信などが杉田氏を批判すればするほど、杉田氏に対する注目度は高まりそうだ。
(喜多長夫/政治ジャーナリスト)