プロ野球では近年、「投高打低」が顕著だ。規定打席に到達した3割打者は2018年が20人、20年12人、21年11人、22年6人。そして今季は広島からオリックスにFA移籍した西川龍馬、DeNA・宮崎敏郎、ヤクルト・サンタナ、オリックス・頓宮裕真、ソフトバンク・近藤健介の5人のみで、過去最少となった。
11月4日に放送された「す・またん!」(読売テレビ)に出演した阪神OBの鳥谷敬氏が、3割打者激減の理由についてこんなふうに語っている。
「2018年と比べて、単純にピッチャーのスピードが5キロぐらい上がっている。あとは、どのチームもそうですけど、先発と抑えのピッチャーは昔も今も力強い球を投げるピッチャーが多い。今はビハインドで勝敗が決まっているときに投げるピッチャーのレベルまで上がっているので、そこで率を稼ぐということができない。年間にすると、そこで1、2分違うのがこの(3割打者の)人数の少なさになっていると思う」
今は投球の回転数や回転軸などを測定するトラックマンも導入され、ますます投手側のレベルがアップしそうだが、
「そこに野手が追いついていく。そこからまたピッチャーが上がっていく。ずっとお互いがレベルアップしていく。今はピッチャーがひとつ上にレベルアップして、次はバッターがそこに追いついていく状態だと思う」
と鳥谷氏。つまり再び揺り戻しで打者優位か同等の時が来るというわけだが、今季3割を超えた5人はいち早く投手のレベルに追いついた一流の打者と言えるだろう。
(鈴木十朗)