2023年も残すところ、あとわずか。今年も世界の各地で様々な怪奇現象が報じられたが、中でも地元紙が大々的に報じたことで全米中で話題になったものがある。今年3月に米アリゾナ州のハイウェイに現れ、動画に収められた「下半身だけの幽霊」だ。
地元メディアによれば、この動画を撮影したのは大型トラックの男性運転手。土曜日の早朝、アリゾナ州の国道87号線を走行中、ドライブレコーダーに移り込んだ映像を確認したところ、そこには暗闇の中、半透明で上半身がない2本足だけの人影のようなものが映っていたのである。
運転手はメディアの取材に対し、「道路上に人影があった記憶はあるが、それは動かずに立ったままの状態だったように思う」と語った。だが映像に残ったのは、腕がなく2足のみで路上を歩き回る謎の生物。動画が公開されるや否や、SNS上には「交通事故で亡くなった人の霊ではないのか」「いや、宇宙から降りてきたエイリアンだろう」といった声に交ざり、「またしてもナイトクローラーが現れたのか」との指摘が出たのである。
「ナイトクローラー」とはいったい何か。
「これは主にアメリカを中心に出没する、腕のない灰色(あるいは青白色)の生物です。2本足で歩き回る、正体不明のUMAだとされます。最初に報告されたのは1990年代ですが、その後も全米各地で目撃談が多発し、単なるオカルト話として見過ごすことができなくなってきた。最も有名なのは、カリフォルニア州フレズノで撮影された動画でしょう。大人しかった飼い犬が突然、夜になると暗闇に向かって吠えるようになったのを不審に思った飼い主が、ガレージ近くに監視カメラを設置した。するとカメラには、腕がない、足だけの数フィートの青白い生き物が2体、映り込んでいたのです。即座に警察に通報され、この映像がマスコミに流れると『フレズノ・ナイトクローラー』騒動として、話題になったというわけです」(アメリカUMA事情に詳しい研究家)
2000年代に入ってからも同様の目撃談はあとを絶たず、2011年には同様の動画がカリフォルニアのヨセミテ国立公園に設置された監視カメラでも撮影された。コトここに至って、「ナイトクローラー」の名前は一躍、全米に轟いたのである。
現在もその正体はハッキリしない。ただ、人畜無害なこともあり、幽霊やエイリアン説のほか、もともとその土地を守り続けてきた精霊ではないのか、との説も根強い。
とはいえ、透明で体全体が足だとは…。間違っても深夜の散歩中に遭遇したくないことだけは確かだ。
(ジョン・ドゥ)