重大事態発生である。ソフトバンクホークスの三森大貴が12月20日の契約交渉で年俸4500万円からの減額提示を保留した。ソフトバンクの今オフは大荒れで、1回目の交渉で保留したのは、現役ドラフトで日本ハムへ移籍した水谷瞬のほか、谷川原健太、柳町達と合わせて4人目となった。交渉に同席する三笠杉彦GMは、
「頑張った選手が多い。査定と選手のイメージに少し差がある。保留しないでね、ということはない。選手が考えて、何回でも話をしたいということであれば、球団としてもしていきたい」
と語っている。
近年はモメているイメージをなくすために事前折衝を行い、保留者抑制に努めているはずだが、なぜここまで保留者が続出しているのか。スポーツライターが解説する。
「背景には複雑化している査定ポイント制度があります。ひと昔前はドンブリ勘定で年俸が決められていましたが、今は違う。1試合ごとに細かくデータ診断された、詳しい査定資料が出ます。ところが、それを精査する間もなくハンコを押さないといけないので『ちょっと待って下さい!』となってしまっている。査定ポイントやデータをじっくり見てからゆっくり交渉したい、という選手が保留している印象です」
今年のソフトバンクの特殊事情も関係しているという。
「交渉を統括するフロントが、西武からFAで獲得した山川穂高の調査に、かなり時間を費やしていました。他の選手との事前交渉が丁寧にできていなかった可能性はあります」(前出・スポーツライター)
山川獲得に明け暮れ、他の選手を軽んじるということはないだろうが、球団が慌ただしかったのは間違いなかろう。波乱のソフトバンク勢の契約交渉は今後、どうなるだろうか。
(田中実)