大谷翔平はいかにして、あのような打撃術を身に付け、メジャーリーグで本塁打王にまで上り詰めたのか。
その答えを明かしたのは、巨人の前打撃チーフコーチ・大久保博元氏だった。フリーアナ・田中大貴のYouTubeチャンネル〈田中大貴アスリートチャンネル【アスチャン!】〉に出演して語ったのは、次のようなものだった。
「(今シーズン)岡本和真がちょっと変わったじゃん。『(WBCで)大谷から得たものあるの?』って開幕前に聞いたら『大谷さんが言うには、技術はごまかしだ。パワーだ』と。それでパワーをガンガンつけて、ボールが飛んでる」
なんとも意外な情報である。
WBC直前の3月6日、日本代表は強化試合として、阪神と対戦。大谷はDHで出場し、2本塁打をマークした。3回の第2打席では才木浩人のフォークに体勢を崩され、片膝をつきながらも、右手一本でスイングし、スタンドに放り込んだ。あの衝撃のバッティングを覚えている野球ファンは多いことだろう。
そんな大谷を目の前で見ていた岡本が、その秘訣を盗まないわけがない。今シーズン、キャリアハイとなる41本塁打で2年ぶり3度目の本塁打王に輝いた岡本の打球は、前年までのライト方向への流し打ちではなく、レフトスタンドに向けてのパワーヒッティングが目立ったものだ。大久保氏は言う。
「野村(克也)監督は、真っ直ぐを待って変化球を打てる人は天才で、究極だって言ってたんだけど、俺はその上で、追い込まれてフォークを頭に入れて、それで真っ直ぐをパーンと返せたら鬼に金棒なんですよ。そこにいってるレベルなのよ、大谷は」
かつては「プロ野球をナメるな」と二刀流に猛反対していた野村氏だが、2016年12月11日のバラエティー番組「フルタチさん」(フジテレビ系)で発言を撤回。「大谷さん、すいませんでした」と頭を下げている。
今シーズンの活躍を見ることができたなら謝罪した甲斐もあったと、野村氏は口元を緩ませていたことだろう。
(所ひで/ユーチューブライター)