怒涛の「復讐編」ともいえる第2章が2月22日から始まったのは、医療サスペンスドラマ「グレイトギフト」(木曜21時、テレビ朝日系)だ。
人生、何も失うものがなくなった反町隆史がどう変貌していくのかが後半の見どころなのだが、前半は反町がイケオジすぎて、視聴者は「最愛の女性にも拒絶されるダメ男」の設定に、どうにも感情移入できなかった。
反町が絶望して病院の外に駆け出しても「夏の砂浜を駆け出すビーチボーイズ」「熱血漢のグレートティーチャー」「犯人を追いかける精悍な相棒・冠城亘」を思い出してしまう。
高齢男性が愛用しているような「こげ茶色」「ネズミ色」の丸首セーターを着ても、同じく昭和のオールドミスのような赤いセーターを着ている波瑠も「美男美女」のあまり、変人コンビに見えない。佐々木蔵之介や津田健次郎にキツく叱られバカにされても、ショボくないのだ。
この「錯覚」が生じるのは、ドラマを見ているコア視聴者が、若い頃のイケてる反町を見慣れている上に、2006年に阿部寛がダメ男を演じた「結婚できない男」(フジテレビ系)も視聴していた世代だからだろう。
「結婚できない男」はヨレた黒い長袖ポロシャツ、古臭いベルト、ギザギザの前髪に背中を丸めて、全身で変人を体現した。ドラマ関係者が回想する。
「今だから話せますが、阿部が人気モデルから俳優に転身後、阿部を含めた吉田栄作ら長身の俳優達に対し、とある事務所から『うちのタレントと並ぶとテレビカメラに入りきらない』と共演NGが出されたと言われています。福山雅治や反町は所属事務所が押さえていたドラマ枠があったおかげで、難を逃れた。阿部は干されている間、パチプロで生活をつなぎ、不動産投資にも失敗。再起を懸けたつかこうへいの舞台で『バイセクシャルで元棒高跳び選手の刑事』という難役を演じきって復活しました。3年間のパチンコ店での人間観察が、舞台やその後のクセの強い中年の役作りに寄与したのでしょう」
対する反町は、二枚目のハマり役を演じ続けてきた成功体験がアダとなってしまったのか…。自分を欺いた者達に復讐するこれからが、反町のキレッキレの演技の見せどころだ。
(那須優子)