日本はバブル崩壊以来、「失われた30年」と言われ、長きにわたって低迷が続いている。その日本経済にトランプがトドメを刺すことになるかもしれない。
「トランプの再選で、米国と日本の関係が直接ぎくしゃくするというよりも、トランプの暴走に日本が巻き込まれてダメージを受ける可能性が非常に高いと考えます。例えばトランプとレアアース大国の中国との関係が悪化することで、同盟国でもある日本はトランプの味方だと見なされ、携帯やパソコン、クルマなどの製造に欠かせないレアアースの日本企業への輸出がストップされることも予想される。2010年に尖閣諸島付近で海上保安庁の巡視船と中国の漁船が衝突する事件が起きた時も、中国は日本に対してレアアースの供給を停止しました。再びそうなれば、日本の製造業は経済的に大打撃を受けることになります」(渡瀬氏)
携帯やクルマの納品待ちが日常化する事態も想定される。
そのクルマだが、昨年は過去最高となる1123万台を売り上げ、世界販売台数が4年連続で世界一となったトヨタ自動車も、自国ファースト主義の格好の標的になる恐れがある。
「トランプは過去にも自国の雇用を促進するため、日本のクルマに25%の関税を課すと明言し、日本の自動車メーカーに関税引き上げをちらつかせました。その結果、トヨタ自動車は約840億円を投資して、米国内に5つの工場を新設することになった。トランプの狡猾な言動により、今後も日本の政財界が振り回されるのは間違いない。19年のG7サミットで、当時の安倍晋三総理との二者会談に臨んだ際も突然、自国で余っているトウモロコシを日本が買うように迫ったと言われています。米国の農業従事者の多くはトランプ支持者です。彼らへのアピールのため、トランプが再び大量に余っている農産物の引き取りを交渉してくることは大いにありえます」(山田氏)
低所得者も多い日本国民の貴重な税金をむしり取られてしまうのでは―。トランプの暴走を食い止めるため、日本政府も布石を打ち始めているが、どうにも後手に回っているようだ。
「トランプ再選を見越し、今年1月に麻生太郎副総裁(83)が渡米しました。ワシントンD.C.での講演が表向きの目的でしたが、日本政府高官は、極秘裏にNYでトランプ本人と麻生副総裁の会談をセッティングしようとした。ところが、空振りに終わったんです。というのも、4月に岸田文雄総理(66)がバイデン大統領から国賓級の扱いでホワイトハウスに招待されることが決まっている。それ以前に日本政府が対抗馬のトランプ陣営に接触していることがバイデン陣営にバレたら、現時点から日米関係が冷え込むことにもなりかねなかった。そのため、相当慎重にコトを進めざるをえなかった結果です」(自民党関係者)
ありとあらゆる局面で押し寄せるトランプ再選の大波。果ては、日本の裏社会にまで飛び火するというのである。
「トランプは以前から米国の安全を守るために、ミサイル攻撃などでメキシコの麻薬カルテルを撲滅しようと提案している。そうした事態となれば、メキシコを重要な麻薬の入手ルートとしている日本のヤクザ組織も収入源を絶たれてしまうことになるでしょう」(社会部デスク)
アメリカ大統領選はスーパーチューズデーを控え、日本国民にとっても固唾をのむ一大イベントとなりそうだ。果たして、ジョーカーを引かされてしまうのか―。