毎年3月にJR各社をはじめ、鉄道会社が行う「ダイヤ改正」。引退する車両や新たに登場する車両があり、増便や減便もあって、鉄道ファンが注目する。今年、特に大きな関心を集めているのが、栃木県宇都宮市を走る「宇都宮ライトレール」だ。
宇都宮ライトレールは昨年8月26日に運行を開始。日本の路面電車としては75年ぶりの新規開業とあって、鉄道ファンのみならず、他の地方自治体や経済界からも視線が注がれた。
初のダイヤ改正で、どんな変更があるのか。宇都宮ライトレールの発表によると、「宇都宮駅東口から芳賀・高根沢工業団地間の所要時間を短縮」と「通勤通学需要に対応した増便」、そして「下り快速の運行」が主なものだ。
特に目を引くのが、快速電車。通勤・通学客の利便性を向上させる目的で、朝6時台後半から7時台の間に快速電車を運行。所要時間は現在の約48分から、約42分へと短縮される。
これには大きな意味があると、鉄道ライターが指摘する。
「快速の運行は開業当時から検討されていましたが、利用者の動向や客数を見て導入することになりました。運行からわずか半年で快速が登場するということは、宇都宮ライトレールが早くも軌道に乗った証左。開業前は失敗を予想する声もありましたが、それをはねのけました。宇都宮ライトレールの成功を受けて今後、路面電車を導入する都市が出てくるかもしれません。拍手を贈りたいですね」
宇都宮ライトレールは現在、JR宇都宮駅の東口から東に向けて走っているが、西側へと延伸する動きもある。宇都宮市で存在感を増しそうだ。
「宇都宮は賃貸物件サイトが発表した『住みたい街ランキング』の首都圏部門で、4位に入りました。2021年に行われた調査では93位で、大きく順位を上げた形です。その理由のひとつが、宇都宮ライトレールだと考えられます。路線計画時、路面電車を推す宇都宮市と、反対する当時の栃木県知事が激しく対立しましたが、今の状況を見ると宇都宮市が正しかったということになる。宇都宮市は高笑いが止まらないでしょう」(前出・鉄道ライター)
西側に延伸すれば、街の景色が大きく変わることになる。はたして、どんな街になるのか。
(海野久泰)