以前、ボートレースのCMでよく見かけた、ちょっと気になる美女。それが芋生悠だ。神尾楓珠と同期の新人レーサーで九州訛りの子と聞けば、ピンとくる人は多いのではないか。実はこの女優、小泉今日子の「秘蔵っ子」だというのだ。映画関係者が言う。
「インディーズ映画を中心にキャリアを重ねてきた、演技派の若手女優です。地上波ドラマでは単発のゲスト出演が主なだけに、知る人ぞ知る存在ですが、キョンキョンらがプロデュースした映画『ソワレ』に出演した縁で、2023年から小泉が代表の事務所『株式会社明後日』を仕事の窓口にしています。『ソワレ』での脱ぎっぷりが話題になりましたね」
2月25日に都内映画館で行われた「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の完成披露上映会と舞台挨拶に登場した際には、ひときわ存在感を放っていた。
この作品は2018年公開の映画「止められるか、俺たちを」の続編。「水のないプール」や「キャタピラー」を代表作に持つ故・若松孝二監督が名古屋に作ったミニシアター「シネマスコーレ」を舞台にした青春群像劇が展開される。芋生が演じたのは、劇場でアルバイトしながら映画監督を目指す在日朝鮮人役だった。
「メインキャストの中で唯一の、架空の人物。当時では珍しかった、映画監督を目指す女性であり、在日朝鮮人が差別されてきた時代背景もあって、劇中ではかなり葛藤を抱えた配役でした」(映画ライター)
難役だけに、撮影中に思い悩むこともあったという。そこで助言を仰いだのが、共演した先輩俳優の東出昌大だった。
「どうしたらいいですか」
「お、いいこと聞いてくれたね。一回、セリフを忘れてみて、自由に何も考えずに動いてみなよ」
脱力感あふれるこのアドバイスについて、芋生は先の舞台挨拶の中でこう振り返っている。
「やってみたら本当に全然見える景色が変わって、なんかこう、新鮮な気持ちでやれるというか…。もう全く違う世界になったんですよ」
メガホンを執った井上淳一監督の少年時代を演じた杉田雷麟とは、劇中でライバル関係だったのだが、
「お互いに役作りを意識して、撮影内外で火花をバチバチ散らしていたようです。そればかりか、芋生と杉田の間にはほとんど会話がなかったのだと。仕事にストイックゆえ、歯止めがきかなったんでしょうね。東出のアドバイスのおかげで、肩の力が抜けたのでは」(前出・映画ライター)
舞台挨拶後には劇場の出口でサインなどのファン対応にも、笑顔で応じた芋生。リラックスした姿を見せられたのは、先輩俳優のおかげかもしれない。