3月24日、江戸川、戸田とボートレース2連チャンの次は、取手競輪場で行われるGⅡウィナーズカップに出かけた。自宅からは地下鉄千代田線、JR常磐線を乗り継ぐが、乗り換えはホームを移動するだけなので、1本でつながっているような感覚である。ただし、各駅停車しかないから、所要1時間10分くらい。意外と長く感じる。
取手参戦はウィナーズC最終日で儲けようということと、この日、単発レースとして組まれているガールズケイリンコレクションを観戦するのが目的だった。通称ガルコレはガールズの特別レースとして行われてきたが、2023年からガールズの3つのGIが創設されたのを機に、この日でラストになる。
ガルコレには石井寛子選手も出走する。今年1月に通算600勝を達成したレジェンドだ。最高峰のガールズGPのタイトルがあり、過去にガルコレで優勝している。
ホームバンクとするのは京王閣競輪場で「京王閣の小悪魔」と呼ばれる美人レーサーだ。昨年からガールズGIとGPを盛り上げる夕刊紙の企画に協力していただいているので、車券も買って応援するという、普段とは趣が異なる旅打ちである。
この日は競輪大好きで地元が茨城の後輩「溜め息大将」も同行することになっていた。
取手駅で待ち合わせ、駅前から無料バスで競輪場に向かった。この日の入場者数は5000人超。初日から前日の3日目までは2000人前後だから、2倍以上が集まった。入場門付近の駐車場は県内外ナンバーで埋め尽くされ、大賑わい。JRAの大きな競馬場などとは違って、周長400メートルのバンクを取り囲む場内はやはり狭い。5000人も入場者がいると、芋の子を洗うような混雑になる。
「いやぁ、年に一度のお祭りみたいですね。人とぶつかって、歩けませんね」
溜め息大将は早くも溜め息をついている。受付を済ませてから早速、車券を買い始めた。
江戸川、戸田は強風に悩まされる大会だったが、取手も初日と2日目は風が吹き荒れた。勝利インタビューのコメントも、風に関するものが多かった。だが、この日は無風。ベストなコンディションで、迫力あるレースが期待できそう。車券戦術も楽だ。
というわけで、5R。栃木の橋本瑠偉と千葉の和田健太郎がラインを組む。栃木の選手は隣県の茨城の選手と練習することが多いため栃茨、茨栃ラインとも言われ、栃木の選手にとって、取手は準地元になる。
橋本は初日から⑨⑦⑨とブレーキ状態だが、最終日は何かやる。その橋本につける和田の一発。和田は2020年のグランプリレーサーで、近況は状態も良好。車券は和田の頭からいく。
ところが橋本は逃げて、和田も引き出す走りではなく、マクリ一発狙い。それがまんまと決まって、3連単は25万円台の超大穴になった。「橋本は自分だけ勝つレースか」と大将からまた溜め息が漏れる。
次の6Rには、大阪の④福永大智が出場している。福永はスタートを取る選手として知られている。スタートを取るとは、スタートで先頭に出て、前からレースを組み立てること。福永は予想専門紙では33回(レース数は不明)と断トツだ。
このレースもスタートを取って、大阪の先輩①南修二、⑦稲川翔を引き連れてのマクリ狙いと踏んだ。南をひとつの柱にして、マクリなら福永よりも強烈な②佐々木悠葵もいるので、1着①②で2着に⑦⑨、3着に④も加えたフォーメーション、18点で。
レースはというと、どうしたことか福永はスタートを取らず、3番手をキープして打鐘(残り1周半)から前を叩いて先行。そのままライン決着で、3連単①⑦④2660円。これは的中したものの、3番人気の本命サイドだった。大将はこれもドボンで、「ライン決着か」とまた溜め息が聞こえる。
ここでめしタイムといこう。ホームスタンドの1階と2階に食堂があるので、先に2階に行ってみると、ズラッと行列ができている。ようやく順番が回って来たタイミングで、30分くらい待つと言われて、溜め息大将と「えっ!?」。
次に1階に降りたら、やはり長い列が。仕方なく正面入り口横の場外の食堂風も覗いたら、一杯やりながら車券を楽しんでいるファンが陣取っていて、場所がない。「昼めし難民だね」と、大将と顔を見合わせてしまった。
結局、10R前、ややすいたタイミングを見計らって、1階の食堂へ。チャーシュー麺でお腹を満たすことになった。
(峯田淳/コラムニスト)