2位は勝新太郎。真っ先に思い浮かぶのはハワイの空港でマリファナ、コカインを所持して逮捕された事件だろう。その後の記者会見では、パンツの中から薬物が発見されたことについて、「俺が知りたい。もうパンツは穿かない」の名言を残した。
何度も勝を取材した佐々木氏は回想する。
「のらりくらりとしてなかなか薬物の真相には迫れない。取材してるうちに仲よくなって『飲みに来いよ』と呼ばれるんですよ。ふぐのヒレ酒作ってくれて『僕、お酒飲めないんです』と言うと『お前、俺が作った酒が飲めないのか』とくる。でも代わりに鮭のハラスを焼いてくれたんですよね。何日かして、『大麻の話してやるから来い』と言われて喜んで行ったのが日本一高いと言われていた寿司店。『オーストラリアに俺が行くと山のように高級な大麻を用意してくれる映画監督がいてさ』とメチャクチャな話をする。周りにいっぱいお客さんいるのに。『いいんだよ、この人たちには口止めするんだから。大将、今日入ったシマアジを全員に出してあげて』と皆に振る舞っちゃう。でも取材に行ってるわけだから僕が払わなきゃいけない。いったいいくらになるんだろう‥‥とヒヤヒヤしていると勝さんと昵懇の店のオーナーが『大丈夫ですよ』と囁き、ホッとしたことを覚えています」
勝は35歳で映画制作会社「勝プロダクション」を設立。こだわりから制作費を使いすぎ、さらには毎晩のように夜の街で豪遊したことで10億円を超える借金を抱えて倒産。その翌年、妻の中村玉緒(84)は新会社「勝プロモーション」を設立。みずから社長に就任した。
「ある日、銀座の高級クラブに呼ばれると、周りには原田芳雄や西田敏行(76)ら大物俳優がいるんですけど、皆かしこまってる。僕を隣に座らせた勝さんは『これが今の俺の彼女だ』と皆に紹介するんですよ。『女は懲り懲りで男に走ってるんだ』とかニッコリ笑って。まぁ、規格外れの魅力的な人でしたね」(佐々木氏)
内田裕也は3位の銅メダルに輝いた。
11年、交際中のスッチー宅へ押しかけ、ストーカーで逮捕される衝撃事件があった。
「大麻と包丁を振り回した銃刀法違反はさもありなんで理解できましたが、交際相手の部屋に汚れたパンツを脱ぎ捨てて捕まるのは想定外でした」(63歳・コンビニ経営)
あるイベントで内田と共演した亀和田氏が述懐する。
「イベント終了後、『亀さん、このあと一杯付き合ってよ』と誘われた。店でオーダーしたものがなかなか来なかったんですよ。示しがつかないと思ったのか店員に『テメーコノヤロー、何やってんだ。ワインやウイスキーがなかったらマリファナでも持ってこい!』と怒声。客は皆裕也さんに顔を合わせないようにしてる。するとニカッと笑って『すみませんね、皆さんお食事してるところ。うるさいオヤジで』。これが内田裕也なのかと‥‥」
近くにいるとハタ迷惑、遠くで見ていたい存在だ。
「これは聞いた話ですが、銀座に吉行淳之介さん常連の『まり花』という文壇バーがあって、そこに裕也一行が来店した。吉行さんが『君歌手だろ? 歌ってよ』とおよそロックンローラーに似合わないマイウェイをリクエスト。裕也さんはみるみる『テメーコノヤロー、舐めてるのか!』という憤怒の顔に。すると『今、僕を殴ろうと思ったね? いいよ、殴っても。だけど僕、体弱いから君に殴られたら死んじゃうよ』。一瞬、裕也さんはポカンとした表情。そのあとゲラゲラ笑って。『イヤー、面白い』と握手を求めた。翌日、また裕也さんが来て『吉行さん、カッコイイんだよ』と誉めまくった」(亀和田氏)
まさに「コミック雑誌なんかいらない」ジェットコースター的な私生活だった。