今でこそパ・リーグ球団の人気はセ・リーグを越えるほどになったが、かつては「人気のセ、実力のパ」と言われ、テレビ中継などほとんどなかった。そんな時代の不人気球団でエースを張った大投手が、当時抱いたホンネを今、明かした。世界の王やミスタープロ野球が登場する、切実な話である。(3月15日配信)
野球解説者・落合博満氏のYouTubeチャンネル〈【公式】落合博満氏のオレ流チャンネル〉に、通算317勝左腕の鈴木啓示氏が出演。入団1年目と2年目にそれぞれ羨ましいと感じた投手の名前を挙げた。
鈴木氏は1965年にドラフト1位で近鉄(現オリックス)に入団。1年目に羨ましいと感じたのは、同年ドラフト1位で巨人入りした堀内恒夫氏だった。
「(堀内氏が)マウンドで投げる時に、右側見たら長嶋(茂雄)さん守ってくれてるわけや。左側見たら王(貞治)さん守ってくれてるわけや。それでお客さんは超満員やし。こんなチームで投げたいな、と思ったよね」
2年目は、その巨人を相手にするセ・リーグのライバルを見て、
「江夏(豊)やったね。江夏が同じ関西(出身)やから、次の巨人戦で『長嶋さんから三振取る、王さんから三振取る』言うたらね、(新聞の)1面にでカーッと載るわけや」
江夏氏は1966年のドラフト1位で阪神入団。1年目から12勝を挙げ、225個で最多奪三振のタイトルを獲得した。
もっとも、鈴木氏の通算317勝は、勝利数ランキング歴代4位。江夏氏は206勝で21位、そして堀内氏は203勝で22位である。
「満足したら終わりやね」
と言う鈴木氏は満足げであった。
(所ひで/ユーチューブライター)