「巨人はロッテより弱い」
セ・パ交流戦の開幕日、ロッテと対戦した巨人が貧打を晒して2-1で敗戦し、今季2度目の4連敗となった。いや、この試合のことではない。確かに5月30日の巨人はロッテより弱かったが、プロ野球ファンなら誰もが思い出す「あの事件」を引き起こしたセリフ、というのが正解だ。
それは巨人と近鉄が激突した、1989年の日本シリーズ。10月24日の第3戦、近鉄の先発マウンドには、加藤哲郎が立っていた。6回1/3を無失点に抑えて勝利投手になると、お立ち台で巨人を見下すかのような言葉が飛び出した。シーズン最下位だったロッテを引き合いに出したものだが、それが翌日のスポーツ紙に冒頭のセリフのごとき見出しでデカデカと載ったから、さぁタイヘン。これに奮起した巨人が、3連敗からの4連勝で大逆転し、日本一になったのだ。
その加藤氏が5月30日、岡崎郁氏のYouTubeチャンネル〈アスリートアカデミア【岡崎郁公式チャンネル】〉に登場した。パ・リーグではDH制があるため、打席に立つ機会がなかった加藤氏だが、あの日本シリーズ第3戦は巨人主催の東京ドームだったことで、宮本和知、水野雄仁、槙原寛己という3人の投手と、打者として対峙することに。
岡崎氏は「打者・加藤」に「凄いピッチャーは誰?」と聞く。すると、
「いちばん球が速いのは槙原さん」
とした上で、
「水野がいちばん怖かったですね。そっくり返って投げるでしょ。それで150キロぐらい出るじゃないですか。あれ、よくプロのバッター打てるなと思って、感心しましたね。水野は打てそうな気がしないですね…っていうか、バッターボックスに立つのが怖かったです。顔がこっち向いてないんですよ。それでストライクゾーンに来るでしょ」
身振り手振りで、当時の状況を再現したのだった。
現在、巨人でスカウト部長の任にある水野氏は、83年にドラフト1位で巨人入り。甲子園で春夏連覇を果たした池田高校時代は、エースで4番だった。その風貌も相まって「阿波の金太郎」と親しまれたものだ。
加藤氏のコメントには「彼らしい」続きがある。
「宮本さんは打てるなと思ったんですよ。ちょうどいいぐらいのスピードだなと(笑)」
(所ひで/ユーチューブライター)