自民党が単独で国会提出した「政治資金規正法改正案」。政治資金パーティー券購入者の公開基準こそ20万円超から10万円超へと引き下げられたが、改正内容の超インチキぶりについては、5月20日の衆院予算委で立憲民主党最高顧問の野田佳彦元総理から、
「いちばん(提出が)遅い上に、いちばん薄っぺらい。(裏金事件に対する)反省がない」
と酷評される始末。総理経験者から国会の場で痛罵された岸田文雄総理は、
「再発防止に向けて、実効的な改正案を国会に提出することができた」
そう反論したのだが、野田元総理から次のように突き放されてしまった。
「顔を洗って出直してこい!」
このインチキ改正案をコキ下ろしているのは、野党ばかりではない。自民党と連立を組む公明党もいったんは自民党案を受け入れたものの、その後、党内で反対論が噴出。一転して「ノー」を突きつける事態に至っているのだ。
岸田総理は6月23日に会期末を迎える今通常国会での改正案成立を、国民に公言してしまっている。そこでにわかに注目の的として浮上しているのが「自民党提出の改正案は本当に国会通過となるか」という大問題だ。全国紙政治部記者が指摘する。
「カギを握っているのは公明党です。というのも、国会の現有議席勢力を見ると、自民党は衆院では単独過半数に達しているものの、参院では単独過半数割れの状況にある。つまり、与党の一角を成す公明党が反対に回れば、改正案はあっさりと否決されてしまうのです」
ただし、これには「連立離脱」という大リスクが伴う。全国紙政治部記者が続ける。
「仮に公明党が反対に回った場合、岸田総理のメンツは丸潰れです。事実上、これは内閣不信任と同等の意味を持つため、公明党は連立を離脱せざるをえなくなるでしょう。そのリスクを冒す覚悟はあるのか。国民が注視する中、まさに正念場です」
すなわち、公明党の「本気度」が試されているということだ。
(石森巌)