春のマイル王決定戦・安田記念(GI、東京・芝1600メートル)には、6年ぶりに外国馬が登場する。香港のロマンチックウォリアー(騙6)とヴォイッジバブル(騙6)だ。
ロマンチックウォリアーはGIを7勝している歴史的な名馬で、近年の遠征馬では最強クラスの大物といえる。530キロを超える雄大な馬体は迫力満点で、中距離での強さはここではNo.1だろう。
左回りは豪州のコックスプレート(GI)を勝っているので、心配はいらない。あとはマイルの速い時計勝負に対応できるかどうかだが、父アクラメーションからは幾多の名マイラーや名スプリンターが生まれており、大きな問題はないとみる。2006年のブリッシュラック以来の、香港馬の勝利が見られる可能性は大だ。
ヴォイッジバブルは昨年暮れの香港マイル(GI)で、あのゴールデンシックスティの2着に入り、今回出走するソウルラッシュやナミュールに先着している。その後、今年1月の香港スチュワーズカップ(GI)に勝っているように、勢いがある。回転の利いた走りをする馬で、マイル適性は高い。しっかりマークしておきたい。
日本馬ではナミュール(牝5)が一番手だろう。昨年のマイルチャンピオンシップ(GI)の勝ち馬で、その末脚たるや、半端ではない。武豊との新コンビで挑んだ前走ヴィクトリアマイル(GI)こそ、スタートで後手を踏んだことが響いて8着に惨敗したが、あれは例外としたい。持ち味の決め手は、直線の長い東京でこそ生きる。巻き返し必至だろう。
ヴィクトリアマイルで2着したフィアスプライド(牝6)も侮れない。ここにきて体質の弱さが改善され、馬が逞しくなってきた。ハイペースの前走で前に行って残ったのは、この馬だけだ。地力強化は明らかで、時計勝負にも対応できるのが魅力。人気はさほどないだろうが、穴馬としてマークしておきたい。ちなみに昨年、一昨年とヴィクトリアマイル組が勝利し、目下6年連続で連対中だ。
牡馬ではやはり、川田将雅騎乗のセリフォス(牡5)。一昨年のマイルチャンピオンシップ以来、勝ち星はないが、マイルのスペシャリストとして好成績を残している。川田はこれまで5回騎乗して2勝、2着1回、着外2着だが、勝ち星の中には新潟2歳S(GⅢ)がある。相性は悪くはない。
もう一頭挙げるならば、直線勝負に賭けるレッドモンレーヴ(牡5)を。
グッドラック!
(兜志郎/競馬ライター)