アテネ、北京両五輪を連覇した内柴正人(33)の逮捕は、国内はおろか世界的にも大きな衝撃だった。何しろ逮捕容疑は、教え子に対する準強姦。客員教授を務めていた大学の10代の女子柔道部員に酒を飲ませ酩酊状態にしてコトに及んだというのだ。バルセロナ五輪で銀メダル、全日本選手権優勝7回の実績を持つ小川直也氏(43)は「柔道界に与えたダメージは計り知れない」と憤った。
私は06年に神奈川県茅ヶ崎市で道場を開き、幼稚園児から一般の方々にまで幅広く柔道を教えています。小学生たちには、稽古だけでなく「セッション」という時間を設けています。最近気になるニュースをあげさせ、皆で話をするのが目的です。
だから12月6日の逮捕以降は当然、今回の件が話題になっています。正直なところ、彼らに何と説明してやればいいのか苦慮しています。相手が子供ですから、「準強姦」の意味を生々しく説明もするわけにもいきません。だから、こう言うので精いっぱいなんです。
「みんな道場で礼儀について厳しく言われているだろう? 柔道が強くなるのも大事だけど、強くなったあとにどんな人間になるかはもっと大事なんだ。内柴選手には、そういうことを厳しく言ってくれる先生がいなかったんだよ」
私は、明治大学2年の時に世界選手権で優勝しました。メディアにも大きく取り上げていただき、柔道界では注目される存在となりました。しかし当時の監督、助監督の方々からは「お前はあくまで一学生なんだ。思い上がるんじゃないぞ」と厳しく戒められました。その点では、斉藤仁先生をはじめ国士舘大の先輩たちが、内柴君にもっと厳しく接してやれなかったのかという気がして残念です。
内柴君は「合意の上だった」と供述していますが、この言葉は聞きたくありませんでした。逮捕容疑が事実ではないとの主張なのでしょうが、「合意の上」という言い訳に問題があるということがわかっていません。
彼には妻子がいるわけですから、当然、不倫です。そのこと自体は百歩譲ったとしても、師弟が一線を越えて男女関係になるなど、たとえ合意であっても許されないこと。教え子が卒業したあとに、あらためて交際して結ばれるというケースはありますが、今回の件はまったく次元が違う。九州看護福祉大に生徒を預けた親御さんや高校の先生方の信頼を裏切る行為なんです。
内柴君とは面識がないので個人的な性格などはよくわかりません。ただ、現役引退後すぐに指導者となったのは、彼のためにも無理があったと思います。
いくら選手としての実績があっても、指導というのはそう簡単ではありません。私自身、道場を開いてからそのことを痛感し、今年から筑波大学の大学院でコーチング学を専攻しています。
通学はなかなか大変なんですが、指導者としての自分がまだまだ未熟であることを再認識し、気を引き締めて勉強しています。
この続きは全国のコンビニ、書店で発売中の『週刊アサヒ芸能』でお楽しみ下さい。