サブカルチャーの聖地であり、中野のランドマークだった中野サンプラザの解体工事が、間もなく始まる。
開業から半世紀、ちょうど1年前の2023年7月に営業を終了した。再開発事業を進める野村不動産と東急不動産、住友商事、ヒューリック、JR東日本の主要5社によると、今年度の後半から解体工事は実施される。
解体を前に中野区は、中野サンプラザの3次元(3D)データ公開を始めた。建物内部の細かい部分までが3次元データで復元されており、酒井直人区長は7月18日の記者会見で、
「例えばゲームの中でサンプラザを舞台にしてもらうなど、事業者に自由に使ってもらいたい」
と話しており、バーチャルリアリティーの世界で、中野サンプラザは永遠に残ることになりそうだ。
展望台と7000人収容のホールを擁する新施設は地下3階、地上60階建て。2028年度の竣工予定だ。
中野区内で消えていく「建物遺産」は、サンプラザだけではない。1964年の東京五輪で金メダルを獲得した日本女子バレーボール代表が、金メダルを懸けたソビエト連邦との決勝戦前に練習していた東京都立中野工科高等学校(旧・中野工業高等学校)の体育館もそうだ。新校舎の建て替え工事とともに、日本女子が12年ぶりにパリ五輪に出場する今年、ひっそりと姿を消す。
さらに西武新宿線の鷺ノ宮駅周辺の都道新設工事に伴い、中野区鷺宮と白鷺に点在する古民家が取り壊されていく。まさに中野は100年に一度の大改修の真っ只中にいるのだ。
もう少し暑さが和らいだら、大正・昭和・平成の「建物遺産」を見納めに繰り出そう。
(那須優子)