7月期の連続ドラマの放送が進んでいく中、「目が離せない」「見ていてしんどい」と、あまりの重い内容に視聴者の声を二分させているドラマがある。少し物語を追ってみよう。
フジテレビ系「月9」枠の「海のはじまり」は、目黒蓮が演じる主人公・月岡夏と、年上の恋人・百瀬弥生(有村架純)の前に現れた少女・南雲海(泉谷星奈)が波乱を巻き起こすストーリー。海は、夏が大学時代に交際していた南雲水季(古川琴音)の遺児だったのだ…。
水季は望まない形で夏の子を妊娠した。中絶することを一方的に夏に告げて姿を消してしまったのだが、水季の告別式で、実際には彼女が中絶せずに子供を産んでいたということが判明し、夏は動揺する。
しかし、夏以上にショックを受けたのが、現在の夏の交際相手である弥生だった。恋人に昔の彼女との間に娘がいたことが判明して、心がザワつかない女性はいない。エンタメ誌ライターが話す。
「夏は残された海をどうするつもりなのか、そして自分はどうなるのか。ところが、その弥生にも過去に付き合った恋人の子を妊娠してしまうが、恋人や母親の理解を得られず中絶せざるを得なかった事実が心の傷として存在していたのです。どこをどう切っても重いこの内容に、視聴者からは重厚でいいという評価はありますが、月9の気軽さがゼロという反対意見があり、すでに賛否で真っ二つです」
実は、望まない妊娠と「産む」「中絶する」の選択。この重いテーマを扱ったドラマが、今期はもう1本ある。火曜日にフジテレビ系・火ドラ★イレブン枠で放送されている桜田ひより主演の30分ドラマ「あの子の子ども」だ。
漫画原作の同作だが、高校生である川上福(桜田ひより)がやはり望まない形で同い年の恋人・月島宝(細田佳央太)の子を妊娠してしまう。このことが学校や親にバレてしまうことを恐れながら、中絶するのかどうかを思い悩むというリアルな展開だ。
「7月23日の放送では、生理が来ない福が勇気を振り絞って産婦人科を訪れ、妊娠していることが告げられるという展開でした。実は前日の22日、月9『海のはじまり』で、有村架純演じる弥生の中絶過去が描かれたばかり。まさか週初めの月火と立て続けに、女性が重い現実に苦しむ姿が描かれているドラマを見せられて、さすがに『ツラい…』『最後まで見られるか不安』という声が聞こえてきました」(前出・エンタメ誌ライター)
まさか、少子化時代へのアンチテーゼではないだろうが、どちらのドラマもフジテレビ系だ(「あの子の子ども」の制作は関西テレビ)。
なぜ、今このテーマなのか。はたして意図はあるのか。ぜひ聞いてみたいものだ。
(石見剣)