クイーンSの舞台、札幌芝1800メートルは、小回りの流れに乗りつつ、直線で急加速する伸びも要求されるため、芝のスプリント戦のような能力が問われます。よって、父か母父に芝1200メートル適性の高い血を持つ馬が走りやすいです。
【16年】11番人気で3着したダンツキャンサーは、母父がサクラバクシンオー。
【17年】1着馬アエロリットは父がクロフネ。【20年】11番人気で勝ったレッドアネモスは母父がサクラバクシンオー、2着ビーチサンバは父がクロフネというように、サクラバクシンオー、クロフネとも芝1200メートルGⅠの勝ち馬を複数出している種牡馬です。
【18年】1着ディアドラ、【19年】1着ミッキーチャーム、9番人気で3着したカリビアンゴールド、【22年】1着テルツェットは、父か母父がダンチヒ系。このようにダンチヒ系も芝短距離適性の高い馬を出しやすい系統です。
【22年】8番人気で2着したサトノセシルは、父がフランケル。フランケルは母父デインヒルの影響が強い種牡馬で、芝短距離レベルの高いオーストラリアの主流血統です。
【23年】1着ドゥーラの母父はキングヘイロー。芝1200メートルのGⅠ勝ち馬を出した種牡馬で、戦歴も短距離指向です。
【16年】11番人気で3着だったダンツキャンサーは、前走が芝1400メートルのオープン特別で連対。芝1500メートル以下でしか勝ち星のなかったタイプの馬です。
【15年】7番人気で勝ったメイショウスザンナも似たようなタイプで、準オープン勝ちが芝1200メートルでした。
また、前走経験は短い距離のほうが有利。過去10年のうち、札幌開催(3番人気以内)に限定すると、前走1600メートル以下は複勝率67%。それに対して、前走1800メートル以上は複勝率25%でした。特に2000メートル以上の重賞実績が評価されて人気になっているタイプの馬は信用できません。
ウンブライルは、父がロードカナロア。日本、香港の芝スプリント戦でチャンピオンになった馬で、種牡馬としても芝1200メートルGⅠで結果を出しています。
母父はファルヴラブ。洋芝で行われるスプリント戦に向く馬の生産レベルが高いオーストラリアの主流系統です。クイーンCは洋芝適性とスプリント能力も問われるため、当レースへの適性レベルが高い血統と言えるでしょう。
亀谷敬正(かめたに・たかまさ)テレビ、専門誌などでカリスマ的人気の若手血統馬券師。HPはhttp://www.k-beam.com 推奨レース、期待値の高いデータ満載の出走表も配信中。著書「Mの法則×血統ビーム 誰でも使える血統買いパターン」(オーパーツ・パブリッシング)他多数