9月22日の中山競馬場では先週に続き、芝2200メートルの名物GⅡレースが行われる。1着馬に天皇賞(秋)への出走権が与えられる「オールカマー」だ。
いち早く外国産馬が出走可能となり、80年代には「地方馬招待競走」となるなど、かつては多くの馬に門戸を広げたレースとして「オールカマー」の名にふさわしかったが、現在ではそうした役目が終わり、ただの古馬中距離重賞となっている。
そんな歴史はさておき、3歳馬の「セントライト記念」に続き、2週続けて2200メートルという独特の距離で行われる〝古馬バージョン〟に確固たる馬券戦略はあるのか。
「セントライト記念」が上位人気3頭で決まり、さぞやガッカリしているかと心配した関東在住の馬券師ライターT氏は「同距離でもオールカマーはセントライトのようなことはない」と、ノーダメージでほくそ笑んでいた。
それどころか「オールカマーこそ、クラシックでは少し足りない非根幹距離のレースの得手不得手が顕著に出る」と自信を見せる。
「1600、2000、2400メートルといった日本競馬の根幹距離が得意な血統は決まっている。今回、ディープインパクト産駒が3頭いるが、どれも2200メートルでは馬券になった経験がない。つまり、そういうこと。セントライト記念は3歳馬でまだ得手不得手までは判断がつかない部分があったが、今回は古馬の戦い。もう出走各馬の特徴は馬券ファン全員がわかっている」
そうしたことに付随する形で、古馬の中距離戦ということからT氏はレースの人気面に注意すべきだと言う。
「3歳戦は超本命サイドで収まったり、とんでもない大荒れになったりと落ち着かないレースが多い。しかし、古馬のレースはだいたい配当傾向が決まっている。馬券を買う側がどういう馬が出走しているかをしっかり把握しているというのが理由。そして、オールカマーは特に顕著です。過去10年で馬券になった30頭中、29頭が7番人気以内ですよ。こんな極端な傾向が出ているレースは他にない。今回は15頭立てらしいけど、8番人気以下はバッサリ切ればいいだけ。つまり、その時点で7頭立てになる」
あくまで人気予想だが、人気上位7頭はキラーアビリティ、サヴォーナ、サリエラ、ステラヴェローチェ、ヤマニンサンパ、レーベンスティール、ロバートソンキーとなる。この中には先に挙げた2200メートルの〝非根幹距離〟で古馬になるまで馬券になっていないディープ産駒、キラー、サリエラ、ヤマニンの3頭がいる。
この時点でT氏はすでに勝者の表情だ。
「ほら、これでもう4頭立て。その4頭のボックス3連単と馬連で勝負するだけで十分だけど、あえて本命を聞かれたらロバートソンキーとします。2年前の5歳時にこのレースで2着したけど、その後骨折で1年半休んで、7歳馬ながら13戦しか走ってない。実質まだ5歳馬でしょう。サヴォーナが中山をあまり得意じゃないから、ロバートからステラとレーベンに流して、バッサリ切るのが怖いなら、サヴォーナとディープ産駒を3着付けで加えておけば3連単は嫌でも当たっちゃうんじゃないかな」
そう笑うT氏だが、最後に「もしアルビージャが7番人気に滑り込むようなら穴っぽいから買いたいけどね」と付け加えていた。
馬券師の豪語が皆さんの懐を温めることを祈りたい。
(宮村仁)