この秋、水谷豊と趣里が「弁護士ドラマ」で父娘ガチンコ対決している。
水谷豊は10月16日から「相棒」(テレビ朝日系)シーズン23が始まったが、放送を前に10月上旬までBS朝日で、主演・水谷、プロデューサー・松本基弘氏、監督・和泉聖治氏という「相棒」と同じ顔ぶれで不定期に放送されていた法廷ドラマ「法律事務所」が再放送されていた。
趣里もまた、10月14日スタートの主演ドラマ「モンスター」(フジテレビ系)で弁護士役を怪演しており「クセの強い敏腕弁護士」という設定は父と同じだ。
趣里は初回放送から、偉大な父・水谷を超える「モンスター」ぶりを発揮。クールかつ論理的に真相を究明していく一方で、突如として真犯人に怒りを露わにする「杉下右京」を想起させる、つかみどころのないキャラクターと二転三転する展開に、目が離せなくなる。母の伊藤蘭に似た声質でスラスラと法廷論争を述べていくのも、耳に心地いい。
冒頭に大ヒットドラマ「101回目のプロポーズ」名場面のオマージュを盛り込むなど、中高年視聴者の「つかみ」も心得ている。近年は視聴率低迷で苦戦が続いている月曜21時枠、22時枠だが、長年この枠のドラマを見てきた視聴者がニヤリとするオマージュが、これからも盛り込まれることだろう。
さらに昨夏、テレビ朝日が「踊る大捜査線」(フジテレビ系)の織田裕二を法廷ドラマに抜擢したのに対し、今度はフジテレビが「相棒」の反町隆史を刑事ドラマ「オクラ」(火曜22時枠)の主演に据えた。しかも反町は、現行の刑法では裁かれない悪人を追い詰める「現代版 必殺仕事人」「はぐれ刑事 純情派」という、テレビ朝日ドラマのお株を奪うような役どころで、若手とタッグを組む設定だ。
「もしテレビ朝日の定番ドラマをフジテレビが手掛けたら…」「フジテレビの人気ドラマをテレビ朝日が手掛けたら…」という視聴者の妄想をかき立てる、両テレビ局の遊び心は大歓迎。フジテレビ関係者によれば、
「過去にテレビ朝日で藤田まことが演じていたハマり役は、東山紀之が受け継いできましたが、フジテレビのキャスティングを見ると、趣里扮する新人弁護士のお守り役である東大法学部卒のエリート弁護士を、SixTONESのジェシーが演じるなど、STARTO ENTERTAINMENTと東山にも一定の配慮をしているようです。綾瀬はるかとの熱愛発覚でファンが離れたジェシーにとって、『水谷組』のドラマに出て新たな視聴者層、ファンを獲得していくのは好都合でしょう」
この秋のドラマは「水谷組」で決まり、だ。
(那須優子)