代表監督をめぐる大騒動が勃発する中、10月の2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選で、韓国はヨルダンとイラクに2連勝を飾り、Bグループの首位をキープした。
韓国にとっては久しぶりの朗報に、スタジアムではブーイングが消え、ゴタゴタ状態がいい方向へと転換して…と思われたが、今度は代表に選ばれたFWファン・ウィジョが、性暴力スキャンダルを起こしてしまった。
ファン・ウィジョは日本のサッカーファンにお馴染みの選手。2017年6月にガンバ大阪に加入すると、Jリーグの水に慣れた翌2018年シーズンに躍進する。サッカーライターが振り返る。
「当時、ガンバはレヴィー・クルピ監督が就任しましたが、チームは空中分解し、単独最下位に転落しました。その夏に宮本恒靖氏(現・日本サッカー協会会長)が指揮を執ると、アジア競技大会で離脱していたファン・ウィジョが復帰。パワーとスピードを併せ持つ多彩な得点パターンで、クラブタイ記録となる6試合連続ゴールを決めて、J1残留の立役者となっています」
欧州のクラブがその活躍に目をつけ、ガンバ3シーズン目の夏にリーグ・アン(フランス)のボルドーに移籍。ここでも得点を量産して、欧州リーグに名前を刻んだ。
そんな韓国のヒーローが転落劇に見舞われたのは、昨年6月だった。SNS上に、自分が出ている性的な動画が流出している」と、警察に捜査を要請したのだ。と同時に「脅迫されている」と訴えた。
紆余曲折があった末、脅迫していた犯人が、まさかの実兄の妻であることが発覚。しかし、ここで事件は終わらなかった。
流出した性的動画が、相手の同意なしに撮影されていたことがわかったからだ。盗撮の容疑者としてファン・ウィジョが警察の取り調べ受ける中、W杯2次予選の中国戦に出場。サポーターから「恥知らず!」と、フルボッコの批判を浴びている。
その後、容疑が晴れるまで韓国代表から「追放」されると、性暴力処罰特例法違反(カメラなどを利用した撮影)で起訴された。
10月16日には、ソウル中央地方裁判所で行われた初公判に出廷。捜査過程では一貫して「事実無根」を主張していたが、公訴事実を全て認めた。
「検察側は懲役4年を求刑し、『性暴力治療プログラムの履修命令』『身元情報公開及び告知命令』『5年間の就職制限命令』を要求しました。ファン・ウィジョは深く反省する姿勢を見せ、本格的にピッチに復帰するつもりのようですが…」(前出・サッカーライター)
判決は12月18日に下される。地に落ちた点取り屋がいばらの道から這い上がり、再び輝きを取り戻す日は来るのだろうか。
(風吹啓太)