JR東日本が首都圏の主要線区でワンマン運転を実施すると発表した。2025年春から「常磐線(各駅停車)の綾瀬駅と取手駅の間(10両編成)」「南武線の川崎駅と立川駅の間(6両編成)」でワンマン運転となる。
さらに2026年春からは「横浜・根岸線の八王子駅と大船駅の間(8両編成)」でも導入。最終的には2030年には山手線、京浜東北・根岸線、中央・総武線(各駅停車)、埼京・川越線でもワンマン運転となる予定だ。
ワンマン運転の狙いは、人手不足の解消。乗客が少ない地方のローカル線は多くがワンマン化され、東京メトロの丸ノ内線やつくばエクスプレスなど、首都圏の路線でも実施している。東急電鉄は2023年から、東横線でワンマン運転を行っている。
もはや当たり前となっているワンマン化だが、気になるのはその安全性だ。JR東日本は徹底した安全対策をとるというが、ワンマン化されると運転士がドアの開閉をすることになる。乗降確認モニターによって、全てのドアの乗り降り状況を把握することができ、安全性は保たれる。
車内で非常事態が発生し、乗客がSOSボタンを押したものの、運転士が対応できない場合は、輸送指令室の指令員と会話ができる。指令員が車内放送を行うことも可能だ。車両内の防犯カメラを、リアルタイムで輸送指令室が確認することができるシステムも導入していく。
こうしてみると安全性に問題はなさそうだが、それでも不安要素はあると、鉄道ライターは指摘する。
「走行中に車内で何かあった場合、車掌は対応することができますが、運転士はできません。車両司令室から指令員が車内放送を行ったとして、はたしてどれだけの効果があるのか疑問です。2021年の京王線での殺傷事件と同じようなことが起きたら、いったいどうするのか。痴漢があっても何も対応できない、ということも考えられます。埼京線は現在でも痴漢事案が多発していますが、ワンマン化されたらより増える可能性があり、心配ですね」
まずは常磐線と南武線の「成果」を見てみよう。
(海野久泰)